北条と争い続けた関東管領上杉氏の巨大城郭
鉢形城 四脚門
鉢形城 四脚門

鉢形城の概要とイベント

鉢形城 土塁
鉢形城 土塁
【旅を計画中】下調べによる執筆内容です。旅の参考にどうぞ!
鉢形城は埼玉県大里郡寄居町にある連郭式平山城の跡です。寄居町の中心市街地の南側に位置しています。
鉢形城の中心部は、荒川と深沢川に挟まれた断崖絶壁に築かれているのが特徴です。
主要な区域は、深沢川を荒川の合流地点から上流側に向かって広がっています。特に本曲輪は2つの川の合流地点付近に設けられていました。本曲輪の南側に二の曲輪・三の曲輪・大手が、深沢川の向こう側に外曲輪があります。加えて各所には曲輪を囲むように土塁・堀・畝があり、防御力を高める役割を果たしていました。
1932(昭和7)年に保存状態の良好さを理由に国指定史跡に選ばれました。また1997~2001(平成9~13)年度にかけて二の曲輪・三の曲輪・笹曲輪の発掘調査も行われました。さらに2006(平成18)年には日本城郭協会より「日本百名城」に選定されています。
城跡は全体的に室町時代から戦国時代にかけての土塁や空堀の跡が良く残っているのが特徴です。また、当時の様子が分かるように復元されたものもいくつかあります。その1つが二の曲輪と三の曲輪の間の水堀である障子堀。正確な深さが不明であるため、浅く復元されました。さらには、発掘調査で見つかった庭園跡や四脚門を『洛中洛外図屏風』を参考に復元しています。
鉢形城にまつわるイベントとして、「寄居北條まつり」が毎年5月中旬に行われています。1590(天正18)年5月の鉢形城防衛戦を再現したもので、寄居町内を武者行列が練り歩いた後、荒川を挟んで豊臣方と北条方とに分かれて模擬戦を行うというものです。当時の戦の激しさを追体験できるのではと楽しみしています。

目次

鉢形城へのアクセス方法

電車で行く場合

JR八高線・秩父鉄道線・東武東上線 寄居駅下車、徒歩約25分
バス/イーグルバス 寄居駅発・和紙の里行き「鉢形城歴史館前」下車、徒歩約5分

車で行く場合

関越自動車道花園IC下車、国道140号バイパスを秩父・長瀞方面へ6km、約15分

駐車場

・鉢形城歴史館駐車場
料金:無料
利用時間:9時00分~17時00分

鉢形城、最寄りの場所からのアクセス方法

アクセスは、JR八高線・東武東上線・秩父鉄道が乗り入れる寄居駅の南口から歩いて15分程度です。
また車でアクセスする場合は、関越自動車道の花園インターから国道140号線を秩父方面に進んだ後、寄居駅付近から南に進めば約11分で鉢形城公園駐車場に到着です。
現在想定している登城ルートは、鉢形城公園駐車場を基点に、深沢川を越えて四脚門から登城、三の曲輪と庭園跡、二の曲輪、本曲輪と巡るルートです。以下、下調べした情報を記載いたします。

鉢形城を散策する

三の曲輪

四脚門から登城します。四脚門は城の大手口にあたり抜けると三の曲輪です。現在は門と土塀が復元されています。
三の曲輪は鉢形城内でも最も西側に位置している区域です。北側には伝秩父曲輪があり、北条氏邦の重臣・秩父孫次郎が防備を担当したという言い伝えがあります。
伝秩父曲輪からは、先ほど触れた庭園跡以外にも石積土塁も出土・復元されており、かつての鉢形城に使われた築城技術を今に伝える存在です。土塁を築いてから川原石を階段状に積み上げる作業で構築しており、土塁自体をより高く造り上げて敵が簡単に乗り越えられないようになっています。
また曲輪の南側には四脚門も復元されており、伝秩父曲輪の庭園や石積土塁と並ぶ鉢形城内の見どころです。四脚門も1998~2001(平成10~13)年の発掘調査で検出したもので、礎石と石段が比較的良い保存状態で残されていました。門の建築を復元する際、庭園跡の四阿と同じように『洛中洛外図屏風』の細川屋敷の建物の意匠が参考にされています。

庭園跡

庭園跡は鉢形城跡で最大の見どころとなっています。三の曲輪の北側にある伝秩父曲輪(後述)にあったとされるものです。1998(平成10)~2001(平成13)年度に三の曲輪で行われた発掘調査で検出されました。土に穴を掘って木柱を立てた掘立柱建物・池遺構・柵の列などが出土しています。
池については、浅く掘った上で底の部分に小石を随所に配していた点が特徴です。また水を引き入れるための水路が見つかっていないため、雨水を貯めて活用したものと考えられています。なお素掘りの溝も見つかっており、排水用に使われていたとされるものです。
掘立柱建物跡は16ヶ所から出土しており、中でも池に最も近いものは四阿(あずまや)として使われていました。鉢形城跡で復元されている建物の1つにもなっており、復元の際は狩野派が残した『洛中洛外図屏風』に描かれていた室町幕府管領・細川家の屋敷の建物を参考にしています。

二の曲輪

二の曲輪は、鉢形城でも本曲輪の南側に設けられた区域です。南西は三の曲輪に、南は伝逸見曲輪へと続いています。北東・西・南側が堀と土塁に、東側を深沢川に隔てられているのが特徴です。
二の曲輪と三の曲輪の間には堅固な空堀と土塁が築かれており、往時は空堀の上を木で作った橋で渡していたと考えられています。両方の曲輪をまたぐ形で木の橋も復元されているため、三の曲輪と往復する際に渡るのもおすすめです。合わせて1997(平成9)年度に鉢形城内で行われた発掘調査の際、土塁の基底部が確認されたため、土塁を復元して訪れる方が往時の姿を見られるようになっています。また北西側を走る道路は、かつて本丸との間に掘られた堀切でした。
二の曲輪内部では、掘立柱の建物跡や鍛冶工房も検出しています。本曲輪と同じように鉢形城内で重要な機能を果たしていたと考えられる一画です。

本曲輪

本曲輪は荒川と深沢川の合流地点から、少し荒川を上流方向に行ったところにある区域です。荒川から続く崖の上に設けられています。西側の伝御殿曲輪と、東側で土塁もある伝御殿下曲輪から構成されているのが特徴です。
伝御殿曲輪は鉢形城城主の館があったとされていることから、城内で最も主要な区域だったと考えられています。また本曲輪がある絶壁のすぐ下を流れる荒川は、流れがとても急で深さもあるため、渡河して攻め込むのが非常に難しい地形です。絶壁自体も急になっているため、無事に川を渡れたとしても曲輪の内部に侵入するのが困難を極めていました。
伝御殿下曲輪の東側にも深沢川に沿う形で土塁が設けられているため、東側から攻め込むことも容易ではありませんでした。

鉢形城の御城印と百名城スタンプ

■鉢形城の御城印
鉢形城では御城印を販売しています。

・鉢形城歴史館
住所:〒369-1224 埼玉県大里郡寄居町大字鉢形2496-2
TEL:048-586-0315
開館時間:9:30~16:30(入館は午後4時まで)
休館日 :月曜日(月曜日が祝日の場合は、その翌日)、祝日の翌日、年末・年始
料金は1枚300円です。

■鉢形城の日本百名城スタンプ
日本百名城スタンプは以下で希望者にのみ貸し出しとなります。

・鉢形城歴史館受付
※閉館時は、駐車場正面入口右側に設置された郵便ポストの中にスタンプが置いてあります。

鉢形城の入城情報

所在地

住所:〒369-1224 埼玉県大里郡寄居町大字鉢形2496-2
TEL:048-586-0315(鉢形城歴史館)

開城時間

24時間

休城日

管理上やむを得ないとき

料金

無料

製作スタッフ紹介

記事

歴史作家。城郭ナビゲーター。
城巡り歴は約40年ほど。防衛施設としての城もさることながら城下町としての街づくりや江戸時代の教育・文化・経済に強く惹かれています。
日本100名城、日本続100名城を中心に訪れたお城の数は150城を超え、2025年に200城を目指し日夜研鑽中。
現在、城トリップで仲間たちと城巡りの情報交換を行いながら記事更新しています。

※写真は「写真AC」を使用