江戸の武家屋敷が残る町並みと美しい杉城
飫肥城_大手門04
飫肥城_大手門04

目次

飫肥城の見どころとイベント

飫肥城_伝統的建築物群保存地区の町並み02
飫肥城_伝統的建築物群保存地区の町並み02
飫肥城_中之丸西側から松尾之丸に続く道02
飫肥城_中之丸西側から松尾之丸に続く道02
飫肥城_豫章館01
飫肥城_豫章館01
飫肥城の見どころは、復元された「大手門」と、城内を包み込むようにそびえる「飫肥杉」です。
大手門は、樹齢100年以上の飫肥杉を使って復元された枡形虎口で、その堂々たる姿から訪れる人々を圧倒します。
立派な飫肥杉が立ち並ぶ杉林は、荘厳な雰囲気を漂わせながらも、心癒される空間です。
また、城下町には武家屋敷が点在し、当時の情景を思い起こさせます。
飫肥城は、中世城郭と近世城郭の双方の特徴を併せ持つ群格式平山城です。
酒谷川やシラス台地の地形を利用して、複数の曲輪で構成されています。
飫肥城は宮崎県日南市の中心に位置し、城の三方を酒谷川に囲まれ、小高い丘陵のシラス台地に築かれています。
旧飫肥街道が城下を通り、江戸時代には薩摩藩や日向国各地との交通の要衝や政治・文化の中心地として栄えました。
周辺には、現存する武家屋敷「豫章館」や「松尾の丸」、飫肥城の鬼門を守る神社「田ノ上八幡神社」、明治の外交官・小村寿太郎ゆかりの地などが点在し、落ち着いた城下町の雰囲気が今なお色濃く残っています。
飫肥城は南北朝時代に土持氏により築城され、当時は「飫肥院」とも呼ばれていました。
戦国時代には伊藤氏と島津氏との激しい争奪戦を繰り広げられ、この飫肥城争奪戦は100年以上続いたとされています。
その後、島津氏の支配を経て、1588年に伊東氏が城主として返り咲きました。
以降、明治維新まで伊東氏が14代にわたり日向飫肥藩を治めました。
飫肥藩の中心として城と城下町の整備をはじめ、藩政期には藩校「振徳堂」を創設し、藩士や町民の教育に力を注いだことで知られます。
毎年秋には飫肥城跡を中心に「飫肥城下まつり」が開催されます。
時代絵巻パレードでは、侍大将や女武者、ミスお姫様の武者行列や郷土芸能などが飫肥の町を練り歩き、城下町を華やかに彩ります。
なかでも、江戸時代から伝わる郷土舞踊「泰平踊」は、元禄の伊達姿で、武芸十八般をかたどった優雅な踊りが見どころです。
また、飫肥城観光を楽しむマップ「あゆみちゃんマップ」が販売されており、城下町を散策しながら、地元の食べ物や手作り商品などと引き換えができます。

飫肥城へのアクセス方法

飛行機で行く場合

宮崎ブーゲンビリア空港(宮崎空港)から東九州自動車道を使って車で約45分

▼レンタカーは以下
・トヨタレンタカー 宮崎空港店 0985-56-0100
・日産レンタカー 宮崎空港店 0985-56-4123
・ニッポンレンタカー 宮崎空港営業所 0985-56-0919

新幹線・電車で行く場合

・九州新幹線:JR鹿児島中央駅下車
JR鹿児島中央駅で「日豊本線」に乗換、「南宮崎駅」で下車
「南宮崎駅」から「日南線」に乗車、「飫肥駅」で下車
そこから徒歩で目指します。(15分ほど)

車で行く場合

東九州自動車道 日南東郷ICより国道225号経由で約10分
以下をナビに登録ください。
飫肥城観光駐車場
住所:〒889-2535 日南市飫肥9-1-14

駐車場

飫肥城観光駐車場
住所:〒889-2535 日南市飫肥9-1-14
※大型自動車・中型自動車は有料(1日1,000円)  

飫肥城、最寄りの場所からのアクセス方法

JR飫肥駅から左折して国道222号線沿いにまっすぐ進み城下町を見ながら城に向かいます。
本町商人通り→小村寿太郎生家→鯉の湧水池→豫章館→大手門→松尾之丸御殿→本丸へ。
大手門に戻って横馬場通利を通って藩校振徳堂を見学するルートでご紹介いたします。

飫肥城と飫肥城下町を散策する

本町商人通り

飫肥城_本町商人通01
飫肥城_本町商人通01
JR飫肥駅から西側に国道222号線を進むと本町商人通りです。
飫肥城の城下町南側に位置する本町商人通りは、江戸時代に商人や職人たちが軒を連ねて暮らしていた通りで、飫肥藩の経済と文化の中心として栄えました。現在も白壁と格子戸の町家が整然と並び、石畳の道とともに往時の風情を色濃く残しています。通り沿いには資料館や土産物店、カフェなどが点在し、歴史的景観と現代の趣が調和しています。四季折々の草花や小川のせせらぎも、散策を楽しませてくれる魅力のひとつです。

小村寿太郎生家

飫肥城_小村寿太郎生家01
飫肥城_小村寿太郎生家01
本町商人通りと大手門通りのぶつかった交差点を大手門方面に進むと右手に見えてくるのが小村寿太郎生家です。
小村寿太郎生家は、明治の外交官として知られる小村寿太郎の出生地で、飫肥城下町の一角に残る武家屋敷です。江戸時代後期に建てられたとされ、茅葺き屋根と白壁、質素ながらも端正な造りが特徴です。内部は当時の暮らしを再現しており、畳敷きの部屋や囲炉裏、庭園などから武家の生活がうかがえます。小村寿太郎の偉業を伝える資料も展示されており、飫肥の歴史とともに人物像にも触れられる貴重な文化財です。

鯉の湧水池

飫肥城_後馬場通、鯉の遊水池01
飫肥城_後馬場通、鯉の遊水池01
さらに大手門方面に進み後馬場通に出ると鯉の湧水池があります。
飫肥城下町にある鯉の湧水池は、江戸時代から生活用水として利用されてきた湧水を利用した池で、清らかな水に錦鯉が泳ぐ美しい景観が特徴です。藩政時代、この湧水は町人や武家屋敷での飲料や防火用水として重宝され、町の貴重な水源でした。現在は城下町散策の人気スポットとなっており、池のほとりには石垣や苔むした景色が広がり、飫肥の落ち着いた町並みに風情を添えています。四季折々に異なる表情を見せる、癒しの場所です。

豫章館

飫肥城_豫章館03
飫肥城_豫章館03
大手門付近まで進むと豫章館(よしょうかん)です。
豫章館は、飫肥藩の筆頭家老・伊東家の屋敷として江戸時代に建てられた武家屋敷で、現在は国の重要文化財に指定されています。屋敷は主屋を中心に複数の建物と美しい庭園で構成され、広々とした間取りや上質な材木を使った格式ある造りが特徴です。書院造の建築様式を採用し、座敷から眺める枯山水風の庭園は、静寂と気品を感じさせます。飫肥藩の上級武士の暮らしぶりを今に伝える貴重な建築遺構です。

大手門

飫肥城_内堀(大手門脇)01
飫肥城_内堀(大手門脇)01
飫肥城_大手門07
飫肥城_大手門07
飫肥城の大手門は、城の正面入口にあたる重要な防御施設で、藩主や来賓の公式な出入り口として使われました。現在の大手門は1978年に復元されたもので、薬医門形式を採用し、木造の堂々たる構えが特徴です。門の左右には石垣が積まれ、正面の石段とあいまって威厳ある景観をつくり出しています。幅約6メートル、高さ約5メートルと大規模で、城の顔として訪れる者を迎える象徴的存在となっています。飫肥城の歴史的風情を今に伝える名所です。

松尾之丸御殿

飫肥城_松尾之丸御殿02
飫肥城_松尾之丸御殿02
大手門をくぐり中之丸西側の階段を上って進むと松之丸です。御殿はすぐ目の前に現れます。
松尾之丸御殿は、飫肥城内にあった藩主の居館の一つで、主に藩主の生活や政務を行う場として使用されました。江戸時代の後期に整備されたとされ、現在の建物は往時の構造をもとに平成5年(1993年)に復元されたものです。書院造を基調とした建築様式で、畳敷きの座敷や庭園を望む縁側、上段の間などが整えられており、上級武士の格式ある生活空間を再現しています。約660平方メートルの敷地を有し、飫肥藩の政治と文化の中心を今に伝える貴重な施設です。

本丸と飫肥杉

飫肥城_本丸跡と飫肥杉01
飫肥城_本丸跡と飫肥杉01
飫肥城_北門01
飫肥城_北門01
松之丸を後にして北側に進むと本丸です。
飫肥城の本丸は城の中枢に位置し、藩主の居館や政庁が置かれた最重要区画です。現在は建物こそ残っていませんが、石垣や土塁が往時の姿をしのばせます。本丸内には「飫肥杉」と呼ばれる樹齢100年を超える杉が立ち並び、歴史的景観を彩る象徴的存在です。また、北門は本丸の裏手に位置し、緊急時の退路や物資搬入路として利用されました。復元された北門は木造の一間一戸の門で、質実剛健な造りが特徴で、本丸の防御と利便を兼ねた構造となっています。

伝統的建築物群保存地区の町並み

飫肥城_横馬場通の石垣と白壁02
飫肥城_横馬場通の石垣と白壁02
飫肥城_伝統的建築物群保存地区の町並み03
飫肥城_伝統的建築物群保存地区の町並み03
飫肥城_伝統的建築物群保存地区の町並み01
飫肥城_伝統的建築物群保存地区の町並み01
一度大手門から出て左側に進んでいくと横馬場通り沿いの武家屋敷群が見えてきます。
飫肥城の城下町は江戸時代の町割りや武家屋敷、商家などの町並みが良好に残る地域で、1977年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。武家地と町人地が明確に分かれた構造が特徴で、石垣や白壁、格子戸を備えた建物が連なり、往時の風情を今に伝えています。武家屋敷跡には庭園や門構えが保存されており、飫肥藩の政治と文化の中心だった時代の面影を色濃く残す貴重な歴史遺産です。

藩校振徳堂

飫肥城_藩校振徳堂01
飫肥城_藩校振徳堂01
横馬場通を左折して八幡神社方面に向かう途中に藩校振徳堂があります。
藩校振徳堂(しんとくどう)は、飫肥藩が藩士の教育を目的として設立した学問所で、文化4年(1807年)に開校されました。藩士の子弟に儒学や漢詩、武道などを教える場であり、人材育成の中核を担いました。建物は簡素な木造平屋建てで、講義室や書庫、控え室などを備えた実用的な構造です。敷地内には歴代の教官や門弟の功績を伝える資料も展示されており、飫肥藩の教育水準の高さと文教政策を今に伝える貴重な史跡です。

飫肥城の御城印と百名城スタンプ

飫肥城の御城印

飫肥城の御城印は以下の場所で購入できます。
飫肥城観光駐車場 チケット販売所
住所:〒889-2535 日南市飫肥9-1-14
営業時間:9:00~16:30
休業日:年中無休
販売金額:300円

飫肥城の日本百名城スタンプ

飫肥城の日本百名城スタンプは以下で押せます。
飫肥城 歴史資料館
住所:〒889-2535 日南市飫肥10
営業時間:9:30~17:00(最終受付16:30)
休業日: 12月29~31日

飫肥城の入城情報

所在地

〒889-2535 宮崎県日南市飫肥10-1

開城時間

飫肥城・由緒施設
9:30~17:00(最終受付16:30)

休城日

飫肥城・由緒施設
12月29~31日

料金

飫肥城
無料

由緒施設
1施設につき
大人:300円、大学生・高校生:200円、中学生・小学生:100円
由緒施設共通券
大人:800円、大学生・高校生:600円、中学生・小学生:150円

※由緒施設…豫章館、松尾の丸、歴史資料館、小村寿太郎記念館商家資料館、旧山本猪平家の6施設

製作スタッフ紹介

記事担当

倉の丞
倉の丞
歴史作家。城郭ナビゲーター。
城巡り歴は約40年ほど。防衛施設としての城もさることながら城下町としての街づくりが好き。
特に江戸時代の教育・文化・経済に強く惹かれています。
日本100名城、日本続100名城を中心に訪れたお城の数は150城を超え、2025年に200城を目指し日夜研鑽中。
現在、城トリップで仲間たちと城巡りの情報交換を行いながら記事更新しています。