飢え殺しの舞台、秀吉の巨大陣城と姫路の弟城
鳥取城 天球丸石垣
鳥取城 天球丸石垣

鳥取城の見どころとイベント

鳥取城 菱櫓跡の石垣群
鳥取城 菱櫓跡の石垣群
鳥取城 仁風閣(近景、正面)
鳥取城 仁風閣(近景、正面)
鳥取城 擬宝珠橋と中の御門
鳥取城 擬宝珠橋と中の御門
鳥取城の見どころは、「史跡鳥取城跡附太閤ヶ平(たいこうがなる)」として登録されている通り、
1. 姫路藩主輝政の孫光政により整備、拡張された見事な石垣群と
2. 秀吉の飢え殺しで有名な鳥取城攻めの陣城跡
です。
光政が拡張した城郭は久松山の自然地形を巧みに活用しており、久松山山頂付近に天守台と山の丸を配し、南西麓側には二の丸、三の丸・水堀が施され、守りが強められています。
中でも城内の随所に残された石垣群は圧巻で、二の丸上段にある天球丸は全国唯一の球状の巻石垣となっており、最大の見どころです。
30年かけての復元工事中で、現在、正面入口に当たる中ノ御門や擬宝珠橋など一部の建造物も復元された姿で見られます。
もう1つの見どころとなる太閤ヶ平(たいこうがなる)は豊臣秀吉による鳥取城攻めの本陣がおかれた場所で、50m四方の曲輪は土塁と空堀で囲まれ、鳥取城を包囲するために陣城から鳥取城を囲むように約700mの竪堀と要所要所に砦が築かれていました。本陣山山麓には本陣跡の空堀と土塁の遺構が今も残りますので興味があるかたはぜひ足を運んでみてください。

目次

鳥取城へのアクセス方法

飛行機で行く場合

最寄り空港:鳥取空港(鳥取砂丘コナン空港)
レンタカーサービスも4社が利用でき、会社名と連絡先は以下のようになっています。

・トヨタレンタリース 鳥取 TEL:0857-28-6199(空港カウンター)
・タイムズカー TEL:0857-31-0109(空港カウンター)
・オリックスレンタカー TEL:0857-51-0543(空港カウンター)
・ニッポンレンタカー TEL:0857-28-0919(空港カウンター)

・車で約15分
国道9号線を福知山市方面に進んで「秋里」交差点で右折→国道53号線を直進→鳥取県庁付近にある3ヵ所の駐車場を利用してください(駐車場情報は後ほど紹介)

・路線バス利用:日の丸バスの「空港入口」バス停から約21分乗車、「西町」バス停で下車→国道53号線を海側に進んで「鳥取森林管理署」交差点で右折、約11分で鳥取城に到着。

電車・バスで行く場合

JR山陰本線・智頭急行鳥取駅
・駅から車・タクシーで約10分
・路線バスを利用する場合は、100円循環バスくる梨(緑コース)に約8分乗車し、「仁風閣・県立博物館」停留所または「市立武道館」停留所で下車すぐです。

車で行く場合

鳥取自動車道鳥取インターより約20分
インターを出てまっすぐ進んだ後、「鳥取I.C.入口」交差点で右折→次の「服部」交差点で左折後、「千代大橋西詰」交差点で右折→「今町2丁目」交差点で左折、国道53号線をまっすぐ進むと周辺に駐車場があります。

駐車場

鳥取城には専用駐車場がない代わりに、3ヶ所の周辺駐車場が利用できます。駐車場情報は以下の通りです。

・鳥取県庁駐車場
場所:鳥取県鳥取市東町1-220
利用時間:土日祝日7:30~22:00
料金:無料
収容台数:普通車257台
TEL: 0857-26-7772(鳥取県 総務部 総務課 庁舎管理担当)

・県庁北側緑地駐車場
場所:鳥取県鳥取市東町1-220
利用時間:土日祝日24時間
料金:無料
収容台数:普通車69台
TEL: 0857-26-7772(鳥取県 総務部 総務課 庁舎管理担当)

・鳥取市営片原駐車場
場所:鳥取県鳥取市片原2-206
利用時間:24時間
料金:30分まで無料、30~1時間30分:100円、以降4時間30分まで1時間おきに100円追加、4時間30分~24時間:500円
収容台数:普通車136台
TEL:0857-50-0300(片原駐車場管理室)

鳥取城、最寄りの場所からのアクセス方法

鳥取城はJR鳥取駅から車で10分、路線バスで8~9分です。
車をご利用の場合、鳥取県庁駐車場など3ヵ所の駐車場を利用できます。特に鳥取県道184号線(片原通り)沿いにある鳥取市立片原駐車場が便利です。また土日祝日であれば、鳥取県庁駐車場や県庁北側緑地駐車場も利用できます。

以下では中ノ御門表門から入って、仁風閣天球丸巻石垣を見た後、山上の天守台に向かい、御三階櫓跡・石切場・西坂下御門のルートで解説していきます。

鳥取城と城下町を散策する

擬宝珠橋と中ノ御門表門

鳥取城 入口(擬宝珠橋と中の御門)
鳥取城 入口(擬宝珠橋と中の御門)
鳥取城 中の御門
鳥取城 中の御門
鳥取城 中の御門(三の丸内側から見た)
鳥取城 中の御門(三の丸内側から見た)
中ノ御門表門は鳥取城の大手門です。水堀に架かっている擬宝珠(ぎぼし)橋の先にあります。1621(元和7)年に当時の鳥取藩主池田光政の命で建てられたもので、32万石となった鳥取藩の威光を示す存在でした。1720(享保5)年に大火事で焼失したものの、同年のうちに再建されて明治維新に至るまで城の正面門として機能しました。明治時代に鳥取城が廃城となった後、1875(明治8)年に門も撤去されました。2019(平成31/令和元)年に門の創建400周年を記念する形で幕末の姿で復元され、現在城内有数の見どころとなっています。
門は全長10.2m・全高5.0mの規模の高麗門で、両側を枡形石垣に挟まれた中に立っているのが特徴です。ちょうど姫路城の「ろの門」とよく似た構造で、光政が建てる際に「ろの門」を参考にしたためとされています。また復元に先立つ発掘調査の結果、屋根瓦には徳川将軍家の家紋である葵紋が入ったものが多く出土しています。光政の後に藩主となった池田光仲が徳川家康のひ孫に当たることから、幕府より特別に使用を許されたためです。
手前にある擬宝珠橋も、中ノ御門表門の創建に合わせて架けられたものです。明治時代の1897(明治30)年に解体されましたが、2018(平成30)年に門よりも前に復元されています。長さ約37m・幅約6mという規模で、国内にある城郭で復元された橋では最も長いものです。ちなみに橋の名前にある「擬宝珠」とは、橋の欄干の上にある玉ねぎのような飾りのことです。

仁風閣

鳥取城 仁風閣(近景)
鳥取城 仁風閣(近景)
門をくぐると左手に白亜の建物が見えてきます。これが仁風閣です。
仁風閣は明治40年に鳥取池田家第14代当主池田仲博が宮内省匠頭であった 片山東熊に依頼した建築物で国の重要文化財に指定されています。
建物の外観は、フレンチ・ルネッサンス様式を基調とした白亜の建築で内部は「御座所」「謁見所」などの部屋に分かれ螺旋階段が配されています。

天球丸巻石垣

鳥取城 天球丸
鳥取城 天球丸
天球丸巻石垣は、鳥取城二ノ丸の上段にある天球丸の石垣を支えるための設備です。現在の鳥取城で中ノ御門表門と並ぶ最大の見どころになっています。天球丸は関ヶ原の戦いの後に鳥取藩主になった池田長吉の姉・天球院が住んでいたとされる曲輪です。そして巻石垣は1807(文化4)年頃から問題となった石垣の崩落を防ぐ目的で、幕末になって設置されました。1943(昭和18)年の鳥取大地震で被害が出た後は長らく放置されていましたが、修繕工事を経て2011(平成23)年に往時の姿で蘇りました。

巻石垣は横幅約12m・高さ約5.5mの規模を誇ります。そして石垣に添えるように球状に設けられているのが最大の特徴です。巻石垣は全国でも何ヵ所かの城で見られるものの、鳥取城のような球状ではなく角状になっています。江戸時代当時に川の堤防や港の突堤を築く際、球状の石垣が採用されていたことから、石垣崩落を防ぐ術として球状の石垣が応用されたと考えられています。鳥取城のように球状になっている巻石垣は全国でもほかに例がないため、城内でもぜひ見ておきたい場所です。

天守跡

鳥取城 山の丸と天守台(三の丸から見た)
鳥取城 山の丸と天守台(三の丸から見た)
天守跡は天球丸脇の坂道から山を登った先の本丸にあります。一辺が約10間(約20m)の長さで、鳥取城にある櫓台の中でも最大規模を誇るものです。当初宮部継潤が城主だった時代に3層の天守が建てられていましたが、関ヶ原の戦い後に池田長吉の手によって2層に改められています。しかし天守は1692(元禄5)年に落雷で焼け落ち、以後は再建されませんでした。

天守跡の中央には穴蔵が設けられており、兵糧の貯蔵庫として活用されていました。また南東にも附櫓があり、天守への出入りに使われていたとされています。

御三階櫓跡

鳥取城 御三階櫓の石垣(遠景)
鳥取城 御三階櫓の石垣(遠景)
鳥取城 御三階櫓の石垣
鳥取城 御三階櫓の石垣
鳥取城 御三階櫓に続く石段
鳥取城 御三階櫓に続く石段
御三階櫓は鳥取藩主の御殿があった二ノ丸の南西側にあった建物です。もともと池田光政が入城後に城の大改築を行った際に建てられたものです。1692(元禄5)年に山上の天守が焼失した後は、天守の代わりとして機能しました。江戸時代を通じて鳥取城を象徴する建物として親しまれましたが、廃城後の1879(明治12)年に解体されています。2006(平成18)年から始まった30年に及ぶ城域の復元整備の一環として、今後往時の建物が再建される予定になっています。

櫓自体は3層3階建てで、下の階より上の階が一回り小さい層塔型が採用されていました。ちなみに山陰地方で導入された層塔型の建物としては最初のものです。なお間取りは1階が8間(約14.5m)四方、2階が6間(約10.9m)四方、3階が4間(約7.3m)四方でした。

石切場

石切場は二ノ丸の背後に見られる岩盤が露出している場所です。1619(元和5)年に池田光政が鳥取城の大改築を行った際、石垣などに使う石を切り出すために場として活用されていました。なお鳥取城二ノ丸は藩主の御殿があった区域ですが、藩主の生活・行政の場に近い場所に石切場の跡があるのは、全国的にも珍しいです。

西坂下御門

鳥取城 西坂下御門
鳥取城 西坂下御門
西坂下御門は二ノ丸南西の右膳ノ丸に建つ門です。幕末の1867(慶応3)年に建てられた門で、明治維新による廃城後も長らく現存の門として残されていました。1975(昭和50)年に発生した台風で倒壊し、後に復元されています。現在では中ノ御門表門や擬宝珠橋とともに、鳥取城内にわずかに見られる貴重な建造物の1つです。

240本のソメイヨシノ

鳥取城 桜(ソメイヨシノと久松山)
鳥取城 桜(ソメイヨシノと久松山)
鳥取城の麓部分は、大正時代に旧鳥取藩主池田氏の手で久松公園として整備されました。そして公園整備の際、お堀端沿いや二の丸などに240本のソメイヨシノが植えられています。1990(平成2)年には公益財団法人日本さくらの会が選定したさくら名所100選にも選ばれました。また鳥取気象台が地元での開花宣言を行う際の標準木も植えられています。

特に公園内に建てられた仁風閣の白亜色とソメイヨシノの薄ピンク色が見事に調和し、訪れる人々を魅了してやみません。ちなみに3月下旬から4月上旬の夜間にはぼんぼりでライトアップされ、夜桜が楽しめます。

鳥取城の御城印と百名城スタンプ

■鳥取城の御城印
鳥取城では御城印を販売しています。
・仁風閣
住所:〒680-0011 鳥取県鳥取市東町2-121
TEL:0857-26-359
開館時間:9:00~17:00
休館日 :毎週月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
料金は1枚300円です。

・(公財)鳥取文化財団事務局(仁風閣休館の場合)
住所:〒680-0831 鳥取県鳥取市栄町655 池上ビル2F
TEL:0857-23-2410
開館時間:9:00~17:00
休館日 :年末年始

■鳥取城の日本百名城スタンプ
日本百名城スタンプは以下で希望者にのみ貸し出しとなります。
・仁風閣
住所:〒680-0011 鳥取県鳥取市東町2-121
TEL:0857-26-359
開館時間:9:00~17:00
休館日 :毎週月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始

・鳥取県立博物館(仁風閣休館の場合)
住所:〒680-0843 鳥取県鳥取市東町2-124
TEL:0857-26-8042
開館時間:9:00~17:00
休館日 :毎週月曜日(祝日の場合は翌平日) ・ 国民の祝日の翌日・年末年始(12月29日~1月3日)

・鳥取市役所総合受付(仁風閣休館の場合)
住所:〒680-0823 鳥取県鳥取市幸町71
TEL:0857-22-8111
開庁時間:8:30~17:15
休庁日 :土日祝日・年末年始(12月29日~1月3日)

・鳥取市役所守衛室(仁風閣休館の場合)
住所:〒680-0823 鳥取県鳥取市幸町71
TEL:0857-26-7777
開庁時間:24時間
休庁日 :なし

鳥取城の入城情報

所在地

住所:鳥取県鳥取市東町2
TEL:0857-26-0756(鳥取市観光コンベンション協会)

開城時間

24時間
(スタンプがある仁風閣のみ9:00~17:00、最終入館16:30)

休城日

なし(仁風閣のみ毎週月曜・祝日の翌日・年末年始)

料金

なし(仁風閣は150円)

製作スタッフ紹介

記事

歴史作家。城郭ナビゲーター。
城巡り歴は約40年ほど。防衛施設としての城もさることながら城下町としての街づくりや江戸時代の教育・文化・経済に強く惹かれています。
日本100名城、日本続100名城を中心に訪れたお城の数は150城を超え、2025年に200城を目指し日夜研鑽中。
現在、城トリップで仲間たちと城巡りの情報交換を行いながら記事更新しています。

※写真は「写真AC」を使用