蒲生氏郷が築城、美しい城下町と高石垣の城
松阪城 石垣
松阪城 石垣

松阪城の見どころとイベント

松阪城 御城番屋敷
松阪城 御城番屋敷
松阪城 きたい丸石垣
松阪城 きたい丸石垣
松阪城 遠見櫓跡の石垣
松阪城 遠見櫓跡の石垣
松阪城(松坂城)は三重県松阪市殿町地区にある平山城です。日本百名城の1つであるとともに、国の特別史跡にも指定されています。
松阪城には「松坂城」・「四五百(よいほ)城」・「鶴城」といった別名があります。「松坂城」は築城当初の名前で、縁起の良い「松」と豊臣秀吉の居城・大坂城の「坂」を組み合わせたものです。また「四五百城」については、城が建てられた場所が「四五百の森」と呼ばれる丘陵であったことが由来になっています。一方「鶴城」の由来については知られていません。
城は標高38mの独立した丘陵・四五百の森にあります。城の北を流れる阪内川が天然の要害になっており、丘陵も築城時に切り通しを設けたことで南北2つの丘に分かれているのが特徴です。北の丘に城の中枢部があり、丘の最も高い場所に本丸を、東に二ノ丸・西にきたい丸・南に隠居丸が配置されています。なお2つの丘の周囲に三ノ丸を設けており、全体的に渦巻を描いたような構造です。
明治維新を経て紀州藩がなくなると、松阪城(松坂城)にあった建物のほとんどが破却されます。しかし蒲生氏郷以来の見事な石垣は今日に至るまで残されており、城最大の見どころとなっている部分です。松阪城は2006(平成18)年には日本百名城に、2011(平成23)年には国の特別史跡に指定されました。
現在の松阪城(松坂城)には建造物らしいものはあまり残っていません。ただ本丸や二の丸に見事な石組みによる石垣が残っています。また天守閣や櫓の跡があり、往時の豪壮な縄張りの跡がうかがえます。さらに三の丸にある御城番屋敷も残されており、幕末の姿に思いを馳せる上で貴重です。ほかにも隠居丸跡には本居宣長の旧宅が保存されています。
松阪城(松坂城)を舞台にしたイベントとしては毎年11月初旬に行われる氏郷まつりが有名です。松阪の街を作り上げた蒲生氏郷を讃える祭りで、特に蒲生氏郷ら200名の武士に扮した行列は見ごたえ抜群とのこと。松阪しょんがい音頭や松阪しょんがいソーランと合わせ見たいものです。

目次

松阪城へのアクセス方法

飛行機で行く場合

中部国際空港より車・タクシーで約1時間45分
▼レンタカーは以下
トヨタレンタリース 中部国際空港店 TEL:0569-38-0100
ニッポンレンタカー 中部国際空港営業所 TEL:0569-38-8560
タイムズカー 中部国際空港店 TEL:0569-38-7055
オリックスレンタカー 中部国際空港カウンター TEL:0569-38-7760
日産レンタカー 中部国際空港 TEL:0569-38-1123

中部国際空港より電車・バスで約2時間15分
最寄り駅:松阪駅より徒歩約15分、三重交通バス「市民病院前」バス停より徒歩約4分

電車で行く場合

JR紀勢本線・近鉄山田線松阪駅より徒歩約15分、三重交通バス「市民病院前」バス停より徒歩約4分

車で行く場合

伊勢自動車道松阪I.C.より車で約13分
三重県道59号線(アクセス道路)を松阪市中心部方面に道なりに進み、「松江小学校入口」交差点で右折してください

駐車場

・松阪市駐車場
場所:三重県松阪市殿町1539-1
利用時間:24時間
料金:無料
収容台数:普通車210台
TEL: 0598-53-4406(松阪市まちづくり交流部 観光交流課観光・ブランド創造係)

松阪城、最寄りの場所からのアクセス方法

公共交通機関を使う場合は、JR松阪駅から徒歩で向かうといいでしょう。
現在想定している登城ルートは、表門跡から入り、東側を登り本丸下段、上段と向かってきたい丸を巡ったら、石段を下って隠居丸を巡って、二の丸へ。最後は裏門を通って御城番屋敷や三の丸の堀跡を巡るルートです。以下、下調べした情報を記載いたします。

松阪城を散策する

本丸

表門から一挙に本丸へ向かいます。
本丸は松阪城(松坂城)の中心で最も標高の高い場所にある曲輪です。上下二段から構成されているのが特徴として挙げられます。
下段部分には太鼓櫓・遠見櫓・月見櫓の跡があります。各櫓とも天守閣付近と同じく多聞によって繋げられて一体となっており、本丸南側の守りとして機能していました。
更に登ると本丸上段です。本丸の北西角には天守閣の跡があります。
天守閣は三層の建物だったとされ、周囲に敵見櫓と金の間櫓が設けられていました。天守と2つの櫓は多聞によって繋がった連立式天守として一体になっていました。

きたい丸

きたい丸は本丸の西側にある曲輪です。蒲生氏郷から数えて3人目に城主になった古田重勝が、息子の幼名「希代丸」にちなんで命名しました。
往時には曲輪の東西南北の各角に隅櫓が設けられていました。現在でも隅櫓の跡が残っているとともに、各櫓を繋いでいた石垣も見られます。

隠居丸

隠居丸は本丸の南に設けられている曲輪です。二の丸と本丸を繋ぐ位置にあり、二の丸からは隠居丸に設けられていた裏門や中御門を経由して本丸に行けました。城が機能していた時代には、2棟の道具蔵・宝蔵・米蔵が置かれていました。

隠居丸最大の見どころが、松阪出身の国学者・本居宣長の旧宅「鈴屋(すずのや)」です。もともと市街地にあって、宣長が『古事記伝』や『うひ山ぶみ』などの著作を生み出した場所でした。「鈴屋」の名前は、彼が鈴の音を好んだことに由来します。

鈴屋は1909(明治42)年に旧宅保存のために現在地に移されました。1953(昭和28)年には国の特別史跡に指定されるとともに、内部も見学できるようになっています。

二ノ丸

二ノ丸は本丸の南東側に設けられた曲輪です。二ノ丸御殿が建てられていたほか、南側には櫓も設けられていました。また築城当時に設置された井戸もあり、現在でも水をたたえています。なお北東側に表門跡、南西側に裏門跡もあります。

江戸時代の1794(寛政6)年には紀州藩の陣屋が置かれ、以降明治維新に至るまで紀州藩による行政の中心となりました。

本丸・二ノ丸石垣

松阪城(松坂城)最大の見どころが、本丸や二ノ丸に残された石垣です。石垣は蒲生氏郷が築城した時代や江戸時代以降の特徴を残しているとともに、日本国内でも屈指の規模を誇っています。
氏郷が築城した頃の石垣は「野面積み」と呼ばれる技法を用いています。氏郷の故郷・近江を拠点に活躍した穴太衆の手によるものです。自然の石をほとんど加工することなく巧みに積み上げています。主に本丸で見られるものです。
また江戸時代の修復の際に用いられた「打ち込みハギ」や「算木積み」も見られます。「打ち込みハギ」は、石の表面をノミで粗削り加工してから積みます。石と石の間に小さめの石を積むことで安定感を持たせているのが特徴です。一方「算木積み」は石垣の隅側に見られる技法で、長方形の石材を長いもの・短いものを交互に積んでいきます。二の丸の石垣の隅側で見られるものです。
ほかにも本丸と二の丸に築かれた石垣は、曲がり角が目立つ「折」が多い特徴があります。攻め込んだ敵からすると本丸側にたどり着くまでに時間がかかるとともに、城兵にとっては矢や鉄砲で狙いやすくなっていました。
なお城内の石垣群は、1988~2003(昭和63~平成15)年にかけて大規模な修復工事が行われました。工事を経て現在では、往時の美しい姿を取り戻しています。

三ノ丸

三ノ丸は二ノ丸のさらに外側に設けられた曲輪です。城の中核部分を囲むように設けられており、堀と土塁で守られていました。築城当時は家臣たちの屋敷がありましたが、紀州藩の時代に武家屋敷が移転した後は田畑などに使われていました。
三ノ丸の見どころが御城番屋敷です。幕末の1863(文久2)年に設置されたもので、城の警備についていた武士が住んでいました。組長屋は現存のもので、今もなお警備役の武士の末裔が生活を営んでいます。なお西側の北端にある1軒の家は見学可能です。

松阪城の御城印と百名城スタンプ

■松阪城の御城印
松阪城では御城印を販売しています。
・松阪駅観光情報センター
住所:〒515-0017 松阪市京町507-2
TEL:0598-23-7771(松阪駅観光情報センター)
開館時間:9時~18時
定休日:年末年始(12/30~1/2)
料金は1枚200円です。

・豪商のまち松阪 観光交流センター
住所:〒515-0082 松阪市魚町1658番地3
TEL:0598-25-6565
開館時間:9時~18時(12月~2月/~17:00)
定休日:年末年始(12/30~1/2)
料金は1枚200円です。

■松阪城の日本百名城スタンプ
日本百名城スタンプは以下で希望者にのみ貸し出しとなります。
・歴史民俗資料館
住所:〒515-0073 三重県松阪市殿町1539番地
TEL:0598-23-2381
開館時間:午前9時~午後4時30分(4月~9月)、午前9時~午後4時(10月~翌年3月)
休館日:月曜日(祝日を除く)、祝日の翌日、年末年始(12月29日~1月3日)
※展示替えで臨時休館することがあります。

・歴史民俗資料館
住所:〒515-0073 三重県松阪市殿町1536-7
TEL:0598-21-0312
開館時間:9:00∼17:00(最終入館時間 16:30)
休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合は、翌日)、年末年始

松阪城の入城情報

所在地

住所:三重県松阪市殿町
TEL:0598-23-7771(松阪駅観光情報センター)

開城時間

自由

休城日

年末年始(12月29日~1月3日)

料金

無料

製作スタッフ紹介

記事

歴史作家。城郭ナビゲーター。
城巡り歴は約40年ほど。防衛施設としての城もさることながら城下町としての街づくりや江戸時代の教育・文化・経済に強く惹かれています。
日本100名城、日本続100名城を中心に訪れたお城の数は150城を超え、2025年に200城を目指し日夜研鑽中。
現在、城トリップで仲間たちと城巡りの情報交換を行いながら記事更新しています。

※写真は「写真AC」を使用