日本一のコヒガン桜と武田流築城術の傑作
高遠城 桜
高遠城 桜

高遠城の見どころとイベント

高遠城 二の丸にある高遠閣
高遠城 二の丸にある高遠閣
高遠城 桜雲橋と夜桜
高遠城 桜雲橋と夜桜
高遠城 本丸にある太鼓櫓
高遠城 本丸にある太鼓櫓
高遠城は長野県伊那市の高遠町域にある平山城です。戦国時代には高遠氏や武田氏が治め、江戸時代には高遠藩の政庁が置かれていました。
高遠城には「兜山城」という別名もあります。ただし別名が付く由来になった逸話などは不明です。
高遠城は高遠町域の中心に位置しています。南から流れてくる三峰川と北から流れてくる藤沢川の合流地点にそびえる河岸段丘に築かれているのが特徴です。両川の合流地点は西にあるため、北・南・西の三方を川に守られた要害として機能していました。三峰川に面した南西に本丸が、本丸の東に二の丸、北東に三の丸があります。また北西にも勘助曲輪、南に南曲輪と法幢院曲輪を設けることで、本丸を包むような構造です。
1875(明治8)年からは、荒れた城跡に心を痛めた高遠藩旧臣たちの手で桜の植樹が行われるようになります。かつて城内の馬場に植えてあったものを移す形で始められたものでしたが、年ごとに規模が拡大していきます。現在1,500本の桜が植えられており、青森県弘前城や奈良県吉野山と並ぶ「日本三大桜の名所」として知られるようになりました。文化財としても1973(昭和48)年に国の指定史跡に、2006(平成18)年に日本百名城に選ばれています。
高遠城には、現在建物はほとんど残されていません。ただ本丸南西側にはかつて時報代わりに活用されていた太鼓櫓が、東側に問屋門と桜雲(おううん)橋があります。桜雲橋の下をはじめ、各曲輪には空堀が残っており、往時の堅固さを今に伝えています。また空堀以外にも曲輪内側に築かれた土塁や本丸周辺の水堀も見どころです。ほかにも城の北西側、バス用の臨時駐車場の近くにも大手門があります。
高遠城では毎年4月に「高遠城址公園さくら祭り」が催されます。城内でなければ見られないタカトオコヒガンザクラの見頃に合わせて行われる祭りです。城内での屋台のほか、高遠囃子の巡行や桜茶のサービスも行われます。夜間のライトアップでは、山のシルエットを背景に淡く照らされる桜の木々が見事だといわれていて行けることを楽しみにしています。

目次

高遠城へのアクセス方法

飛行機で行く場合

信州まつもと空港より車・タクシーで約1時間20分
▼レンタカーは以下
トヨタレンタリース 塩尻駅前店 TEL:0263-51-5100
タイムズカー 松本駅前店 TEL:0263-32-7040
オリックスレンタカー 松本駅前店 TEL:0263-34-3711
Jネットレンタカー 松本駅前店 TEL:0263-35-0154

信州まつもと空港よりバス・電車で約3時間
最寄り駅:JR伊那駅よりJRバス関東バス利用で約25分・「高遠駅」バス停からさらに徒歩約20分

電車で行く場合

JR飯田線伊那市駅からJRバス(JRバス関東)で25分、「高遠駅」バス停下車徒歩約20分

車で行く場合

中央自動車道伊那I.C.より車で約25分
インター出口から左折して長野県道87号線を進み、「水神橋西」交差点で左折→国道153号線を直進して「双葉町」交差点で右折→高遠方面に進んでください

駐車場

・伊那市営高遠城址公園有料駐車場
場所:長野県上田市天神2-3-17
利用時間:24時間
料金:無料(桜まつり開催期間のみ1回1,000円)
収容台数:普通車3,00台、自動二輪車80台
TEL:0265-78-4111(伊那市役所)

高遠城、最寄りの場所からのアクセス方法

首都圏からむかう場合は、伊那バスターミナルまで高速バス
その後伊那バスに乗って高遠城址公園まで向かうと便利そうです。
車の場合は有料駐車場が最も城に近そうです。(名称に有料とありますが、桜まつり期間以外は無料のようです)
現在想定している登城ルートは、高遠城址有料駐車場を基点に、伝大手門を見た後、大手門から三の丸、高遠閣を見て二の丸へ。
二の丸から問屋門を通って本丸、そして最後に太鼓櫓を見るルートです。以下、下調べした情報を記載いたします。

高遠城を散策する

伝大手門

伝大手門は現在城の北西側に建っている門です。高遠城が明治初期に廃城となった際、城内にあった門は払い下げられました。大手門とはされているものの、往時に比べると規模が縮小されていることから、「伝大手門」という名称になっています。
門は戦時中に城内に戻され、戦後の1954(昭和27)年に現在地に移築されました。1954~84(昭和29~59)年には高遠高校の正門として使われました。学校が城外に移転した後もなお残されており、往時の城の姿をうかがわせる存在になっています。

問屋門

問屋門は本丸跡の東に建っている門です。門の手前の空堀には桜雲橋が渡してあり、門とともに高遠城を代表するスポットになっています。
問屋門はもともと城下にあった問屋役所に設けられていました。問屋役所では役人が配置されており、街道を行く人々の宿泊や移動、公的な荷物の取り扱いなどを担当していました。
問屋役所は昭和20年代(1945~54)年に取り壊され、門も売却されました。しかし町の有志が歴史ある門の保存に立ち上がり、募金で買い戻して現在地に移築しました。
毎年桜の季節になると、周りに桜が花開く中で問屋門と桜雲橋が映えます。城内でも特に欠かせない桜スポットとして必見です。

太鼓櫓

太鼓櫓は本丸跡にある櫓で、時を知らせるための太鼓が設置されていました。太鼓は江戸時代にあった搦手門に置かれており、当時から領民に時を告げるために使われていました。
明治維新後の廃城で搦手門が撤去されると、三峰川の向こう岸にそびえる白山に太鼓を設置するための櫓が置かれました。櫓は1877(明治10)年に現在地に移転し、太鼓は1943(昭和18)年まで毎日6時から18時までの偶数時に鳴らされました。
太鼓は戦後、三の丸にあった高遠高校で使われ、毎時限の授業の開始と終了を知らせるために使われました。現在では城の南東にある高遠町歴史博物館に展示されています。
櫓は2階建てで自由に入れます。2階部分の四方には窓枠があり、城内や周辺の景色を一望できます。

曲輪や土塁

高遠城の曲輪は、本丸を中心に二の丸・三の丸・勘助曲輪・南曲輪・法幢院(ほうどういん)曲輪・笹曲輪があります。曲輪の配置は江戸時代の高遠藩時代の特徴を残しているものです。戦国時代の高遠城が織田信長の甲州征伐による落城で壊滅的な被害を被った後、江戸時代に大規模な改修が行われたためです。
本丸跡は現在の城跡のほぼ中心にあります。高遠藩時代には本丸御殿が設けられ、藩主による執務や生活の場となりました。御殿以外にも2階建ての櫓3棟や土蔵も置かれていました。
二の丸は本丸の東から北に設けられた曲輪です。江戸時代には広庭があり、藩士たちによる稽古や儀式に活用されていました。また有事に備えて馬屋や武器の蔵も設けられていました。なお東の端に土塁があり、現在二の丸にある唯一の遺構となっています。加えて二の丸には1936(昭和11)年に建てられた高遠閣もあり、赤屋根を特徴とした建物は国の登録有形文化財にも指定されています。
三の丸は二の丸の外側にあり、江戸時代には藩主の子供が住む御殿や藩に仕えた家老の屋敷がありました。また敷地内には、幕末の1860(安政7/万延元)年に設置された藩学校・進徳館も国史跡として保存されています。
勘助曲輪は本丸の北西にあり、もともと江戸時代に大手門を東から西に移転した際に設けられたものです。名前は山本勘助にちなんでいます。
南曲輪は本丸南側にある曲輪です。本丸に向かう土橋からは、曲輪を造る際にできた切岸が明確に残っています。なお江戸時代には庭園や茶室があり、保科正之も幼少期に暮らしていました。
笹曲輪と法幢院曲輪は、ともに城の南側にあった曲輪です。笹曲輪は北に隣接していた本丸に比べると一段低くなっています。法幢院曲輪は南端にあったこともあり、外堀に接していました。
各曲輪の内側には土塁が設けられており、現在でも随所に残されています。土塁の上には塀も築かれており、防御や城の風格を示すために機能していました。特に二の丸に残っている土塁は堀とともに見られるため、往時の城の姿を想像する上で役立ちます。

空堀・水堀

高遠城内の各曲輪は周囲に横堀が張り巡らされているのが大きな特徴です。曲輪間の連絡には橋を使っていました。特に三峰川に面している城の南側には竪掘が複数設置されており、敵の侵入に備えられていました。
現在城に残っている堀はほとんどが空堀です。ただ本丸の周囲に巡らされた堀の一部は水が湧き出ているため、水堀あるいは池のようになっています。花見の時期には堀の周囲に咲いた花が水面に移り、美しい風景を見せてくれます。

1,500本の高遠コヒガン桜

高遠城内には1,500本もの高遠コヒガン桜が植えられています。1875(明治8)年に高遠城が廃城になった後、城跡の公園化の一環で植えられたものです。城下にあった桜ノ馬場から移す形で植えられました。
高遠コヒガン桜は城内でしか見られない固有種です。小ぶりで濃いめの赤い花を咲かせる品種で、城跡全域を1種類のみで覆い尽くしています。約1,500本のうち、最初に植えられた古木も10本程度見られる点も特徴です。なお1960(昭和35)年には、樹林全体で長野県の天然記念物とされました。

高遠城の御城印と百名城スタンプ

■高遠城の御城印
高遠城では御城印を販売しています。
・高遠町歴史博物館
住所:〒396-0213 長野県伊那市高遠町東高遠 457番地
TEL:0265-94-4444
開館時間:9:00~17:00(最終入館時間16時30分)
休館日 :月曜日(祝日の場合は開館)、年末年始
料金は1枚300円、2枚500円です。

・高遠なつかし館
住所:〒396-0213 長野県伊那市高遠町東高遠2074
TEL:0265-94-4044
開館時間:9:00~17:00(最終入館時間16時30分)
定休日:水曜日、祝日の翌日、12月28日~1月3日
料金は1枚300円、2枚500円です。

■高遠城の日本百名城スタンプ
・高遠町歴史博物館
※博物館の玄関外に設置してありますので、開館日や時間に関わらず押すことができます。

高遠城の入城情報

所在地

住所:長野県伊那市高遠町東高遠
TEL:0265-78-4111

開城時間

通常期:自由
観桜期:8:00~17:00(最盛期:6:00~22:00)

休城日

無休

料金

通常期:無料
観桜期:
個人 大人(高校生以上)500円、小中学生250円
団体(20名以上) 大人(高校生以上)400円、小中学生200円
※障がい者手帳をお持ちの方と介助者(1名まで)の方は無料。

製作スタッフ紹介

記事

歴史作家。城郭ナビゲーター。
城巡り歴は約40年ほど。防衛施設としての城もさることながら城下町としての街づくりや江戸時代の教育・文化・経済に強く惹かれています。
日本100名城、日本続100名城を中心に訪れたお城の数は150城を超え、2025年に200城を目指し日夜研鑽中。
現在、城トリップで仲間たちと城巡りの情報交換を行いながら記事更新しています。

※写真は「写真AC」を使用