徳川御三家の城、巨大な空堀と水戸学を体感
水戸城 弘道館 正庁・至善堂内部
水戸城 弘道館 正庁・至善堂内部

水戸城の見どころとイベント

水戸城 大堀切跡 水郡線_1
水戸城 大堀切跡 水郡線_1
水戸城 弘道館 正庁外観_1
水戸城 弘道館 正庁外観_1
水戸城 大手門_1
水戸城 大手門_1
水戸城と言えば、三の丸、二の丸、本丸を区切る巨大な空堀や堀切が有名。
三の丸空堀は保存状態がよく当時の遺構がよく残っています。二の丸の堀切は国道232号線に、本丸の大堀切は崖のようにそそり立った形状で下をJRの線路が南北に走っています。水戸黄門で有名な二代藩主水戸光圀による「大日本記」の編纂事業により、儒教と日本史観が結びついた「水戸学」が発展し、藩校による子弟教育の中心地となりました。大きな建物の遺構は、大手門や医薬門や二の丸隅櫓等、あまり多くありませんが、弘道館を中心とした教育という目に見えない遺産がそのまま城内に4つの学校を持つ今の姿へと引き継がれています。
2月上旬から中旬にかけて、日本三大庭園の1つ「偕楽園」では梅の見ごろをむかえ、様々なイベントが行われます。

目次

水戸城へのアクセス方法

飛行機で行く場合

▼茨城空港から車利用の場合
 水戸駅まで茨城空港から水戸IC経由約60分
▼茨城空港からからバス利用の場合
 水戸駅まで高速で約40分、一般で70分
 茨城空港 2番バスのりば 料金[現金]大人1,160円 小人580円(片道)
▼茨城空港のレンタカー情報
・トヨタレンタカー茨城空港店
 住所:〒311-3416  茨城県小美玉市与沢1604-10
 TEL:0299-37-2131

新幹線・電車で行く場合

東京から特急「ひたち」で約1時間10分
・JR常磐線、JR水郡線、鹿島臨海鉄道大洗鹿島線 水戸駅北口から徒歩約10分

車で行く場合

・常磐自動車道水戸ICから約30分
・北関東自動車道水戸南ICから約15分
■水戸城、カーナビへのセットは以下の情報で!
弘道館駐車場
住所:茨城県水戸市三の丸1丁目6

駐車場

・弘道館駐車場
住所:茨城県水戸市三の丸1丁目6

・三の丸庁舎駐車場
住所:茨城県水戸市三の丸1丁目5

・水戸三の丸パーキング
住所:茨城県水戸市三の丸1丁目3−10

水戸城、最寄りの場所からのアクセス方法

水戸城 弘道館 梅林
水戸城 弘道館 梅林
水戸城 二の丸角櫓_1
水戸城 二の丸角櫓_1
水戸城 薬医門(水戸一高)_1
水戸城 薬医門(水戸一高)_1
見学の方法としては、下記の参考ルート案内のように水戸駅を起点として水戸城の観光ポイントを順番に巡っていく方法がベストと思いますが、例えば「弘道館」「大手門」「水戸城 二の丸展示館」「水戸城二の丸角櫓」「旧水戸城薬医門」の五か所を重点的に散策するというパターンでも十分かと思います。

水戸城を散策する

水戸駅から三の丸空堀へ

水戸城 市立三の丸小学校 白壁
水戸城 市立三の丸小学校 白壁
水戸城 土塁堀 北堀_1
水戸城 土塁堀 北堀_1
水戸城 水戸東武館_1
水戸城 水戸東武館_1
JR水戸駅の北口を出ると、右手方面に「水戸城二の丸角櫓」が目に止まります…が、「水戸城二の丸角櫓」の見学はもう少し後の楽しみに置いておいて、まずは国道50号線を前橋方面、大銀杏を目印に進むとそこが銀杏坂交差点。交差点を右折し、左手に水戸京成ホテルを見て「三の丸小学校」まで続く坂が「(旧)銀杏坂」です。「三の丸小学校」は、白壁、瓦葺のまるで武家屋敷を思わせるような校舎が特徴。正門は、左右の柱の上部に一本の木を貫き通しただけの屋根のない簡単な門(冠木門)」になっています。
三の丸交差点を左側に進むと、水戸市三の丸市民センターの場所が「弘道館医学館跡」。医学館は天保14年(1843年)に開設され、本草局・蘭学局・講習寮・製薬局・調薬局・療病所・牛部屋・薬園などからなり、医学の講義のほか、製薬や、当時流行していた天然痘の予防接種「種痘」などが行われました。水戸藩医政の第一線を担った本間玄調の像が立っています。そのまま直進すると、右手には水戸警察署、そして正面の筑波銀行の通りを右折するともうそこが水戸城三の丸の空堀跡です。三つの空堀を右手に進むと、正面には1874年に創立された「水戸東武館」。剣道、なぎなた道・居合道の修練を重ね、これを正しく後世に伝承するための修練に努める道場です。

水戸東武館から弘道館へ

水戸城 弘道館 八卦堂(はっけどう)_2
水戸城 弘道館 八卦堂(はっけどう)_2
水戸城 弘文館 正庁 玄関_2
水戸城 弘文館 正庁 玄関_2
水戸城 弘文館 正庁 諸役会所_2
水戸城 弘文館 正庁 諸役会所_2
次の目的地である「弘道館」は、水戸藩の藩校として第9代藩主徳川斉昭により天保12年(1841年)8月に創設されました。藩士に文武の修練をつませ、さらに医学、蘭学、天文学、歌学など幅広い学問をとり入れた、いわば総合大学というべきものです。
前述の「水戸東武館」前の三叉路を右折し、左手にレトロな「水戸市水道低区配水塔」を見ながら進むと、右手に見えてくるのが2019年12月に復元的整備が完成した「北柵御門(きたさくごもん)」です。弘道館建設時に敷地の南北双方に設けられた門のうち、北側の門にあたります。
その先の横断歩道のある場所が「鹿島神社」の入り口。参道の右手には復元整備された「土塁・通路」を、神社敷地内では、孔子を祀る「孔子廟(こうしびょう)」、徳川斉昭自鋳の鐘(複製)が吊り下げられている「学生警鐘」、建学の精神の象徴である弘道館記碑を納めた「八卦堂」などを見学する事ができます。
「孔子廟(こうしびょう)」を右折、左手に「梅林公園」を見ながら直進すると「弘道館」事務所、そして「弘道館」への入り口です。
「弘道館」の正門(せいもん)は国指定重要文化財。本瓦葺きの四脚門で、藩主の来館や特別な行事の際にのみ開門されました。学生や諸役人は向かって右側の通用門から出入りしていたそうです。
「正庁(せいちょう)」は学校御殿とも呼ばれる弘道館の中心的な建物で、藩主が臨席し文武の大試験や諸儀式が行われたところ。正庁の玄関には広い式台(しきだい)が設けられており、正面に斉昭自筆の「弘道館」扁額が掲げられています。「正庁」の奥にある「至善堂(しぜんどう)」は藩主の休息所や諸公子の勉学所で、明治元年(1868年)に最後の将軍徳川慶喜が謹慎した部屋も残されています。

弘道館から大手門・水戸城二の丸角櫓へ

水戸城 大手門_4
水戸城 大手門_4
水戸城 内堀 二の丸-三の丸間 市毛水戸線_1
水戸城 内堀 二の丸-三の丸間 市毛水戸線_1
水戸城 二の丸 水戸学の道
水戸城 二の丸 水戸学の道
「弘道館」の正面に見えるのが「大手門」。2020年2月に天保期の姿で復元が完了、高さ約13メートル・幅約17メートル、土塁に取り付く大手門としては国内屈指の規模を誇っています。
ここでちょっと寄り道。実は「大手門」へと続く「大手橋」の下を通る国道232号線(市毛水戸線)は、三の丸と二の丸の間に設けられた「空堀」の跡なのです。「大手橋」から国道232号線に降りる階段がありますので、下まで降りてその「空堀」の高さ、雄大さを実感してみてください。
「大手門」から道なりに進むと、左手には「大日本史編纂の地」の記念碑、そして「水戸城 二の丸展示館」があります。この場所は「大日本史」編纂に関する業務が行われていた「水戸彰考館」の跡地。展示館では、弘道館や偕楽園などの市内の教育遺産に関する情報発信や、水戸城に関する展示等を行っています。
左手に水戸市立第二中学校を見ながら進むと、右手の茨城大学教育学部附属幼稚園・小学校と茨城県立水戸第三高等学校の敷地境界に「水戸城御三階櫓跡」の案内板。そしてその横の細い道の先にあるのが、2021年6月に天保期の姿で復元された「二の丸角櫓」です。櫓内では水戸城に関する映像や資料等を見学できるほか、櫓の前には、発掘された当時の礎石が展示されています。

水戸城二の丸角櫓から旧水戸城薬医門へ

水戸城 水戸城跡の大シイ_1
水戸城 水戸城跡の大シイ_1
水戸城 杉山門_2
水戸城 杉山門_2
水戸城 柵町坂下門_2
水戸城 柵町坂下門_2
茨城県立水戸第三高等学校を右手に、さらに直進すると左手には樹齢400年と推定される「水戸城跡の大シイ」。その横にある小さな門をくぐって進むと、那珂川、河川敷、ひたちなか方面の展望が見ることができる「二中見晴らし台」。
那珂川方面に続く「杉山坂」は、藩主御殿のあった二の丸曲輪に通じる重要な通路。坂の中程にやらい門があり、その門をくぐって坂を上ると「杉山門」がありました。現在の「杉山門」は2015年に復元されたものです。
さらに直進すると、水戸城の二の丸と本丸を結ぶ「本城橋」があり、その下を走るJR水郡線が二の丸と本丸の間に設けられた「空堀」の跡になっています。水戸城本丸の場所は茨城県立水戸第一高等学校の敷地となっており、正門として利用されている「薬医門」は水戸城で現存する建造物の一つです。建築年代は、その様式から安土桃山時代末期と推測されています。
その後は水戸学の道を下り、「柵町坂下門」を通って国道51号方面へ。駅方面へ向かう途中にある黄門さまの生誕の場所に祀られた「義公祠堂(水戸黄門神社)」に立ち寄り水戸駅へ。真面目に散策すると2時間半くらいです。

水戸城、トリビア

水戸城 茨城師範学校跡
水戸城 茨城師範学校跡
水戸城 薬医門(水戸一高)_3
水戸城 薬医門(水戸一高)_3
水戸城 三の丸 弘道館医学館跡 本間玄調像
水戸城 三の丸 弘道館医学館跡 本間玄調像
水戸城三の丸の地に建設された藩校「弘道館」ですが、もともと水戸城三の丸にあった重臣たちの屋敷をわざわざ移転させて立てられたそうで、徳川斉昭の学問による人材育成への意欲、学問に対する情熱が感じられます。さて、現在の水戸城の敷地ですが、二の丸のあった場所には「水戸市立第二中学校」、「茨城大学教育学部附属幼稚園・小学校」、「茨城県立水戸第三高等学校」、本丸のあった場所は「茨城県立水戸第一高等学校」の敷地として利用されており、一大文教地区となっています。徳川斉昭の時代から続く学びへの熱い想いが現代にも伝わっているのを感じると同時に、この地で学んでいる学生さんをとてもうらやましく思った次第です。

水戸城、近くの観光地情報

水戸城下町やおすすめ観光スポットについてご紹介します。

おすすめ観光スポット|偕楽園

偕楽園 見晴広場_3
偕楽園 見晴広場_3
偕楽園 孟宗竹林_2
偕楽園 孟宗竹林_2
偕楽園 好文亭_9
偕楽園 好文亭_9
日本三大庭園の1つ。2月上旬から中旬に見頃をむかえる「梅まつり」が有名。この時期はライトアップも行っていて普段見られない幻想的な風景が垣間見えます。
園内は主に、静謐な「陰」の世界を表現する竹林のエリア、梅を中心にして日の当たる「陽」の世界を表現した樹木と庭のエリア、そして「好文亭」に代表される学生が学びを得る学舎の3つのエリアに分かれており、高台にある庭園からは、美しい「千波湖」の湖畔も眺めることができます。

偕楽園公式ホームページ <https://ibaraki-kairakuen.jp>

・水戸城から偕楽園への行き方
水戸城二の丸大手門からJR水戸駅まで徒歩で10分ほど。
バスは、水戸駅北口から1時間に2~3本程度出ています。偕楽園行で所要時間は13分~17分程度です。
梅まつり期間中のみ電車も運行されており、JR水戸駅からJR偕楽園駅は1時間に1~2本程度で3分程で到着します。

水戸城の御城印と百名城スタンプ

御城印販売場所

・(一社)水戸観光コンベンション協会
TEL:029-224-0441
茨城県水戸市三の丸1-5-38 茨城県三の丸庁舎1階
営業時間 8:30~17:15(土日祝、12/29~1/3休)

・水戸観光案内所
TEL:029-221-6456
茨城県水戸市宮町1-1-1 JR水戸駅改札口脇
営業時間 9:00~19:00(12/29~1/3休)

・北澤売店(要弘道館入館料)
TEL:029-231-2842
茨城県水戸市三の丸1-6-29 弘道館内
営業時間 10:00~16:00(不定休)
※臨時休業・短縮営業等する場合がございますので、事前に電話にてご確認ください。
1枚300円です。

日本100名城スタンプ設置場所

弘道館料金所窓口

水戸城の入城情報

所在地

住所:茨城県三の丸2丁目9
TEL:029-306-8132

開城時間

・水戸城跡
 年中無休で24時間出入りできます。

・弘道館
住所:茨城県水戸市三の丸1丁目6−29
TEL:029-231-4725
9時~17時

・二の丸隅櫓
住所:茨城県水戸市三の丸2丁目5−18
9時30分~16時

休城日

・水戸城跡
 年中無休で24時間出入りできます。

・弘道館
 12月29日~12月31日

・二の丸隅櫓
 12月29日~1月3日

料金

・水戸城跡
 無料

・弘道館
 大人:大人:400円 子供:子供:200円 備考:満70歳以上は割引になります。

・二の丸隅櫓
 無料

製作スタッフ紹介

記事

倉之丞
倉之丞
歴史作家。城郭ナビゲーター。
城巡り歴は約40年ほど。防衛施設としての城もさることながら城下町としての街づくりや江戸時代の教育・文化・経済に強く惹かれています。
日本100名城、日本続100名城を中心に訪れたお城の数は150城を超え、2025年に200城を目指し日夜研鑽中。
現在、城トリップで仲間たちと城巡りの情報交換を行いながら記事更新しています。

写真

制作スタッフ
制作スタッフ
男女数名のスタッフにて撮影。
基本、みんな城好き。うんちく好きもいれば、人物像が好きなスタッフも。