アイヌの国づくりとその暮らしを垣間見る城
根室半島チャシ跡群_ヲンネモトチャシ跡04
根室半島チャシ跡群_ヲンネモトチャシ跡04

根室半島チャシ群の見どころとイベント

根室半島チャシ跡群_ヲンネモトチャシ跡01
根室半島チャシ跡群_ヲンネモトチャシ跡01
根室半島チャシ跡群_ノツカマフチャシ跡01
根室半島チャシ跡群_ノツカマフチャシ跡01
根室半島チャシ跡群_ヲンネモトチャシ跡02
根室半島チャシ跡群_ヲンネモトチャシ跡02
根室半島チャシ群と言えば、アイヌの城下町。土塁、柵で覆われた郭の跡が垣間見える貴重な歴史的遺産です。
根室半島の付け根から先端まで大小30以上のチャシ(=集落や郭)があり、特に、根室半島の北東先端部分のヲンネモトチャシ、北東中央部に位置するノツカマフチャシと呼ばれる遺跡が有名です。
北海道の先住民であるアイヌ民族の方々は、多数の小国に分かれ、漁撈を中心に暮らしてきました。
しかし、室町時代から戦国時代にかけて、秋田地方の豪族安東氏の一族、蠣崎氏が一時国を追われ、北海道の渡島半島の付け根西側に移り住むようになり状況が変わります。
当時の北海道はお米が取れない地域。彼らは先住民であるアイヌの方々にお米を渡し、代わりに鮭皮や鷹の羽などをもらう交易を行います。
この交易で得た財力を基に江戸時代、松前藩として立藩し、アイヌの方々はお米含めた穀物中心の食生活が普及することで次第に松前藩の支配下に組み込まれていきます。
交易品となった鷹は国後島に多く生息し、そのため国後島に近い根室半島沿岸が交易拠点となっていきます。
江戸時代の中期から後期にかけて、支配する和人と先住民であるアイヌの方々との紛争が各地で起こります。
特にも、現在の札幌中心に起こった「シャクシャインの戦い」、根室中心に起こった「クナシリ・メナシの戦い(寛政蝦夷の乱)」はその規模も大きく有名です。
「クナシリ・メナシの戦い」では、数多くのアイヌの方々が処刑され、その墓所も根室市内にあります。
ロシアと国境を交える北海道の歴史と雄大な自然の中にある美しくも悲しく、アイヌの歴史を伝える城郭にぜひ足を運んでみてください。

目次

根室半島チャシ群へのアクセス方法

飛行機で行く場合

根室中標津空港から車・タクシーで約2時間
 ▼レンタカーは以下
  ・オリックスレンタカー 根室中標津空港受付カウンター  0153-72-8489
  ・トヨタレンタカー根室中標津空港受付カウンター 0153-78-8100
  ・ニッポンレンタカー 根室中標津空港受付カウンター 0153-72-0919

新幹線・電車で行く場合

JR「根室駅」から車・タクシーで向かいます。
・ノツカマフチャシ跡までは時間は15分程度です。
・ヲンネモトチャシ跡までは時間は40分弱です。

車で行く場合

国道35号線をまっすぐ、歯舞港温根元北堤防を目指します。
■根室半島シャチ跡群、カーナビへのセットは以下の情報で!
「ノツカマフチャシ跡」
住所:北海道根室市牧の内127番地1
「ヲンネモトチャシ跡」
住所:北海道根室市温根元59-60番地

駐車場

「ノツカマフチャシ跡」
住所:北海道根室市牧の内127番地1
駐車場からチャシ跡までは徒歩で5分ほど
「ヲンネモトチャシ跡」
住所:北海道根室市温根元59-60番地
駐車場からチャシ跡までは徒歩で5分ほど

根室半島チャシ群、最寄りの場所からのアクセス方法

今回は整備されている2つのチャシ跡の中でもヲンネモトチャシ跡へのルートを紹介します。

根室半島シャチ群を散策する

ノツカマフチャシ跡

根室駅から車で15分ほどの場所にあります。
駐車場から少し歩きます。
ノツカマフチャシ跡はノツカマップ湾に突き出した崖の上にあります。
オホーツク海を一望できる崖上に、北から2号チャシ跡、南に1号チャシ跡があり半円形の壕が巡らされています。
1号チャシ跡は幅5メートル深さ約3メートルの半円形の壕が70メートル×25メートルの範囲で2つ連結し、壕の内側が盛土になっています。
2号チャシ跡は幅約3メートル、深さ約0.5メートルで半円形に1号チャシよりも浅い壕が巡っています。
ノツカマップは日露外交交渉発祥の地としても知られ、海の先には大きな国後島も見えます。

ヲンネモトシャチ跡

駐車場からすぐの場所にあります。
チャシは温根元湾の西岸に突出した岬の上にあり、盛り土で壕で区画し、盛土頂上に平坦面を2ヶ所作り出しています。温根元漁港から側面を見ると四角餅のように鎮座しているように見えます。
堀跡や土塁の形状が良好なチャシ跡として知られています。
近くには、長さ12メートルのオホーツク文化期の大きな竪穴もあり、古くからこの湾が利用されたことが分かります。チャシ跡からは、歯舞諸島が大きく見えます。
ラッコの毛皮や鷲の羽などの交易品の基地としていたことが実感できます。

寛政の蜂起和人殉難墓碑とクナシリ・ナメシの戦い

珸瑤瑁の浜(現:歯舞湾の浜から見つかったクナシリ・メシナ(=国後島と根室・羅臼地区)の戦いにより殺害された和人(=本州からの入植者やその家族)の47名の慰霊碑です。
この戦いの背景には、当時クナシリ(国後島)との交易を仕切っていた松前藩ご用達の商人「飛騨屋」の番頭や代官などの役人による圧政と、北海道への侵攻を画策するロシアによる支援があったといわれています。
生活困窮したアイヌの人の方々は村の長の不審死をきっかけに蜂起。根室から羅臼、国後島にかけての住民が断続的に放棄する事態となりました。
蜂起したアイヌの方々は、松前藩の鎮圧隊の前に敗れ、蜂起を指導した方々が処刑されました。

根室市歴史と自然の資料館

根室市とその周辺の歴史、自然資料の収集、保管、展示を行っている根室市運営の歴史資料館です。
根室駅から南に15分ほどの場所にあります。
市内遺跡から出土した考古資料、ロシア初の遣日使節であるラクスマンの根室来航に関する資料、樺太に設置されていた国境標石などの歴史資料のほか、シマフクロウ、ラッコ等、この地域を特徴づける自然資料も展示しています。
建物は、レンガ造りで1942(昭和17)年に大湊海軍通信隊根室分遣所として建設されました。
太平洋戦争後は花咲港小学校として利用されましたが、平成2年から根室市郷土資料保存センターとして郷土資料の収集、保管を行い、平成16年10月から根室市歴史と自然の資料館として博物館相当施設の認可を受けました。
施設への入館は、無料です。
住所:〒087-0032 北海道根室市花咲港 209番地
TEL:0153-25-3661

根室半島チャシ群の御城印と百名城スタンプ

御城印販売場所

販売しておりません。

日本100名城スタンプ設置場所

根室市歴史と自然の資料館
住所:〒087-0032 北海道根室市花咲港209番地
TEL:0153-25-3661
営業時間:9:30~16:30

根室半島チャシ群の入城情報

所在地

ノツカマフチャシ跡
住所:北海道根室市牧の内130番地
ヲンネモトチャシ跡
住所:北海道根室市温根元59-60番地

開城時間

ノツカマフチャシ跡、ヲンネモトチャシ跡ともに年中無休で24時間出入りできます。

休城日

ノツカマフチャシ跡、ヲンネモトチャシ跡ともに年中無休

料金

ノツカマフチャシ跡、ヲンネモトチャシ跡ともに無料

製作スタッフ紹介

記事

倉の丞
倉の丞
歴史作家。城郭ナビゲーター。
城巡り歴は約40年ほど。防衛施設としての城もさることながら城下町としての街づくりが好き。
特に江戸時代の教育・文化・経済に強く惹かれています。
日本100名城、日本続100名城を中心に訪れたお城の数は150城を超え、2025年に200城を目指し日夜研鑽中。
現在、城トリップで仲間たちと城巡りの情報交換を行いながら記事更新しています。

※写真は「写真AC」を使用