女城主悲劇の舞台、聳える六段壁と城下町
岩村城 六段壁
岩村城 六段壁

岩村城の見どころとイベント

岩村城 太鼓櫓、表御門、脇櫓と石垣、土塀
岩村城 太鼓櫓、表御門、脇櫓と石垣、土塀
岩村城 八幡曲輪の石垣とその入口
岩村城 八幡曲輪の石垣とその入口
岩村城 城下町
岩村城 城下町
岩村城の見どころは山城の石垣と山麓居館地区を中心にした建物跡、そして東濃経済の中心だった城下町です。
標高713m城山山頂を中心にした岩村城の城郭は、備中松山城、高取城とともに「日本三大山城」に数えられます。
城郭の中でも特に有名なのが本丸北東側にある6段の石垣・六段壁。静寂な大手道を抜けて現れるその姿はなんとも荘厳な佇まいです。
東濃の政治・経済の中心地だった岩村には今でもその文化が息づいており、太鼓櫓・御殿門・平重門・土塀等の建造物が復元された岩村藩主居館跡やその付近には藩校知新館や実践女子大学の創始者下田歌子が作った勉学所もあります。
また、江戸時代当時の姿を残した町家が数多く建っているため、1998(平成11)年に国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。
岩村城の行事として、「いわむら秋祭り」が代表的です。最初に築城した加藤景朝のご神体を乗せた神輿と、時代衣装に身を包んだ300名による時代行列が見どころになっています。江戸時代の街並みが残るかつての城下町を練り歩いたり、馬の飾り馬具に江戸時代後期のものが使われるなど、歴史を感じられるお祭りです。農村景観日本一といわれるその眺めとともに、かたくななまでに守り抜いてきた、城下町の文化を感じてみてはいかがでしょう。

目次

岩村城へのアクセス方法

飛行機で行く場合

中部国際空港より車・タクシーで約1時間50分
▼レンタカーは以下
トヨタレンタリース 中部国際空港店 TEL:0569-38-0100
ニッポンレンタカー 中部国際空港営業所 TEL:0569-38-8560
タイムズカー 中部国際空港店 TEL:0569-38-7055
オリックスレンタカー 中部国際空港カウンター TEL:0569-38-7760
日産レンタカー 中部国際空港 TEL:0569-38-1123

中部国際空港よりバス・電車で約3時間20分
最寄り駅:明知鉄道岩村駅よりバス利用で約4分、「岩村上町」バス停下車後徒歩約33分

電車で行く場合

明知鉄道岩村駅よりバス利用で約4分、「岩村上町」バス停下車後徒歩約33分

車で行く場合

中央自動車道恵那I.C.より車で約25分
岐阜県道66号線から国道19号線を中津川市方面に進み、「正家」交差点で右折→「一色」交差点で国道418号線へと直進してください

駐車場

・岩村城址本丸駐車場
場所:岐阜県恵那市岩村町
利用時間:24時間
料金:無料
収容台数:普通車20台
TEL:0573-43-3231((一社)恵那市観光協会岩村支部)

・岩村歴史資料館前駐車場
場所:岐阜県恵那市岩村町98
利用時間:24時間
料金:無料
収容台数:普通車30台
TEL:0573-43-3057(岩村歴史資料館)

岩村城、最寄りの場所からのアクセス方法

今回は、岩村歴史資料館前駐車場から藩主居館跡の建物、その後大手道を通り各所の石垣を見ながら、六段壁、そして本丸へと登城。
山麓に戻ってゆっくりと城下町を散策するルートで紹介いたします。

岩村城を散策する

太鼓櫓と表御門、平重門

岩村城 太鼓櫓と表御門と脇櫓(正面から見た)
岩村城 太鼓櫓と表御門と脇櫓(正面から見た)
岩村城 表御門
岩村城 表御門
岩村城 平重門と石垣、土塀
岩村城 平重門と石垣、土塀
藩主居館跡の建物は1989~90(平成元~2)年にかけて復元されました。太鼓櫓、表御門、平重門などがそれで、当初家乗が造ったものに倣う形で復元されており、岩村城のシンボルになっています。
岩村藩主居館は江戸時代に入り初代藩主の松平家乗が山城の不要を考えて山麓に造営しました。居館と同時に太鼓櫓も設けられ、通常時には時を知らせて領民の生活に貢献しました。一方火事など有事の際は急を知らせるべく激しく打たれていました。

藩校知新館正門

岩村城 藩校、知新館正門
岩村城 藩校、知新館正門
藩校知新館正門は岩村藩が1702(元禄15)年に設置した藩校の正門です。藩校知新館は全国的に見ても極めて早い時期に設置されたものとされています。8歳以上になるすべての藩士の子弟が入学し20歳まで勉学に励みました。彼らは卒業後に藩政の各方面で活躍する人材として期待されました。

岩村藩が明治時代になって廃藩になるとともに藩校も閉鎖となります。正門のみが残り続け、1984(昭和59)年に太鼓櫓の隣に移されました。なお移転前の1968(昭和43)年には岐阜県の史跡にも指定されています。

正門は木造の平屋建てで屋根は桟瓦葺きの長屋門形式です。外壁は城漆喰で塗られており、下側の腰壁は下見板張り縦押縁抑えとなっています。また内部には釈奠(せきてん)の間があり、聖壇には孔子が描かれた掛け軸が掛かっています。藩校の教授たちは礼拝してから授業に臨むのが習わしでした。

登城口から初門跡

岩村城 下田歌子勉学所
岩村城 下田歌子勉学所
岩村城 藤坂
岩村城 藤坂
岩村城 初門の虎口(上から見た)
岩村城 初門の虎口(上から見た)
居館跡を右側に折れて山道を登ると岩村城の登城口です。ここから大手道を登っていきます。途中、藩主御茶室・圓月跡や下田歌子勉学所を見ながら藤坂を真っすぐ登っていきます。最初の城郭施設になるのが初門跡です。
初門は常設の門ではなく有事に門をつくり敵の侵入を防いだ門と考えられます。登城産所の門だったため初門という名になったと考えられています。

一の門跡

岩村城 一の門跡
岩村城 一の門跡
岩村城 一の門の石垣と大手通
岩村城 一の門の石垣と大手通
岩村城 一の門から土岐門へ向かう道と石垣群
岩村城 一の門から土岐門へ向かう道と石垣群
常設の大手門としての役割を持っていたのがこの一の門でした。
現在は石垣のみが残りますが、当時は二層の櫓門の右手に多聞櫓があったと考えられています。

土岐門

岩村城 土岐門
岩村城 土岐門
岩村遠山軍が土岐氏を破りその城門をここに移したという伝説から土岐門の名があります。土岐門は廃城の際に岩村町飯羽間にある徳祥寺へ山門として移されました。今も、徳祥寺にはこの土岐門が岩村城の貴重な遺構として現存しています。

畳橋・追手門・三重櫓跡

岩村城 畳橋付近の石垣跡
岩村城 畳橋付近の石垣跡
岩村城 追手門三重櫓付近の石垣と大手通
岩村城 追手門三重櫓付近の石垣と大手通
岩村城 追手門三重櫓付近の曲輪にある井戸
岩村城 追手門三重櫓付近の曲輪にある井戸
かつては大手門へ行くには空堀にかかる畳橋を渡らなければなりませんでしたが、現在は橋がなく空堀りを歩くことができます。 畳橋とは敵が来ると板橋を取り外し、堀にすることからこう呼ばれていました。 大手門の前には枡形があり、空掘りにのぞんで三重櫓が威容を誇り、城下町から見ると天守の様に見えたといいます。 この辺りが最も要害堅固な場所であり、絶壁に望んで美しい勾配を描く石垣を見る事ができます。

霧ヶ井

岩村城 霧ヶ井
岩村城 霧ヶ井
霧ヶ井は六段壁から少し下がった場所にある井戸です。城内に17ヵ所あった井戸で最大の規模を誇ります。敵に攻められた際に蛇の骨を投じたところ、出てきた霧が城を守った逸話から「霧ヶ城」の別名の由来となっている井戸です。

霧ヶ井は本来、岩村城の城主の食事に使われていました。そして井戸の水は山頂に位置しているにもかかわらず今日も湧き続けており、1987(昭和62)年には岐阜県の名水50選にも選ばれたほどです。

八幡曲輪

岩村城 八幡曲輪
岩村城 八幡曲輪
岩村城 龍神社入口の石垣
岩村城 龍神社入口の石垣
岩村城 龍神社
岩村城 龍神社
岩村城創築者 加藤景廉 を配神した八幡神社(明治に遷宮)があったことから八幡曲輪と呼ばれる。西方と北方の物見台として二層の遠見櫓が建っていました。現在は、龍神社が祀られています。

六段壁(本丸の6段の石垣)

岩村城 六段壁
岩村城 六段壁
岩村城 六段壁(正面)
岩村城 六段壁(正面)
岩村城 六段壁と本丸登城口
岩村城 六段壁と本丸登城口
六段壁は岩村城の本丸北東側にある6段の石垣群です。重厚に石垣が並んでいる様子から、岩村城が「東洋のマチュピチュ」と呼ばれる所以になっています。
当初は最も高い場所に石垣を設けたものの、石垣の地盤が弱いという問題に直面しました。石垣が崩落する危険性があったため、対策として下側に補強用の石垣を設け、6段に及ぶ石垣の壁となりました。急峻な地形だったこともあり、1階ずつ犬走りを設ける形で築かれました。なお現在残っているものは工法から考えて江戸時代後期のものとされています。

本丸長局埋門・埋門

岩村城 本丸石垣と埋門
岩村城 本丸石垣と埋門
岩村城 本丸にある昇龍の井戸
岩村城 本丸にある昇龍の井戸
岩村城 本丸
岩村城 本丸
本丸は標高717mの山頂に位置し、江戸時代の府城の中では最も高いところに位置します。表門・裏門ともに埋門で厳重な構えをしています。山城であるので天守は必要なく、二重の本丸櫓と納戸櫓、東西両側に多聞櫓(たもんやぐら)がありました。奥の一段高いところにあった本丸櫓は、藩主邸が完備するまで藩主が居住してました。 山の頂きにありながら、枯れることがなかった井戸(昇竜の井戸)を有していました。

出丸

本丸南側に張り出した尾根を削平して作った曲輪。本丸防衛の重要な位置にあり、岩村城南側山葵谷方面の防衛に万全を期している。城内に非常事態が発生したときに城下の武士や領民に知らせる太鼓櫓がありました。現在は岩村城址本丸駐車場とトイレ施設になっています。

岩村城下町

岩村城 城下町
岩村城 城下町
岩村城 城下町
岩村城 城下町
岩村城 城下町
岩村城 城下町
岩村城下町は岩村城のすぐ西側に広がる城下町です。城下町は古くから存在してましたが、岩村城を舞台とする戦が起きるたびに荒廃することもしばしばでした。
現在残っている城下町の原型は、織田氏が武田氏から岩村城を奪還した1575(天正3)年以降に形成されたものです。当時の城主河尻秀隆が整備に着手し、江戸時代になってからも歴代岩村藩主の尽力で整備や拡張が進められました。加えて戦渦に巻き込まれずに済んだため、江戸時代当時の風景を今に残しています。2007(平成19)年には重要伝統的建造物群保存地区に指定されました。
町並は全長約1.3㎞で、立ち並ぶ商家や町家の中にはなまこ壁や武者窓といった独特な特徴も見られます。また枡形と呼ばれる特殊な交差点が設けられています。町並で特に大きな見どころが勝川家です。幕末から続く商家で、敷地内にはかつて岩村城内にあった土蔵も移築されています。

岩村城の御城印と百名城スタンプ

■岩村城の御城印
岩村城では御城印を販売しています。
・恵那市観光協会岩村支部(町並みふれあいの舘)
住所:〒509-7403 岐阜県恵那市岩村町263番地の2
TEL:0573-43-3231
開館時間:9時~16時
休館日 :年末年始
料金は1枚300円です。

・岩村山荘
住所:〒509-7402 岐阜県恵那市岩村町富田569-1
TEL:0573-43-3626
料金は1枚300円です。

■岩村城の日本百名城スタンプ
日本百名城スタンプは以下で希望者にのみ貸し出しとなります。
・岩村歴史資料館受付窓口
住所:〒509-7403 恵那市岩村町98番地
TEL:0573-43-3057
開館時間:午前9時から午後5時(4月~11月)、午前9時半から午後4時(12月~3月)
休館日 :月曜日(祝日と重なった場合は翌日)、祝日の翌日、年末年始(12月28日から1月4日)

岩村城の入城情報

所在地

住所:岐阜県恵那市岩村町字城山
TEL:026-278-2801

開城時間

自由

休城日

なし

料金

無料

製作スタッフ紹介

記事&写真担当

倉之丞
倉之丞
歴史作家。城郭ナビゲーター。
城巡り歴は約40年ほど。防衛施設としての城もさることながら城下町としての街づくりが好き。
特に江戸時代の教育・文化・経済に強く惹かれています。
日本100名城、日本続100名城を中心に訪れたお城の数は150城を超え、2025年に200城を目指し日夜研鑽中。
現在、城トリップで仲間たちと城巡りの情報交換を行いながら記事更新しています。