毛利氏が築城!水堀に浮かぶ美しい出丸の城
広島城 天守(本丸登城口)
広島城 天守(本丸登城口)

広島城の見どころとイベント

広島城 太鼓櫓(内堀東側から)
広島城 太鼓櫓(内堀東側から)
広島城は広島県広島市中区にある平城です。安土桃山時代に中国地方を治めていた毛利輝元(元就の孫)によって建てられました。日本百名城の1つであると同時に、名古屋城・岡山城とともに「日本三大平城」としても有名です。

広島城には「鯉(り)城」という別名もあります。城が建てられた己斐(こい)地域が「鯉」に通じるところが由来とされています。なおプロ野球球団の広島東洋カープの名前も、「鯉城」に由来するものです。
広島城が建てられた場所は太田川の三角州です。西を本川(旧太田川)が、東を京橋川が流れる中に城の中枢部があります。また南に向かうと瀬戸内海に開けているのも特徴です。なお北にも本川と京橋川の分岐点があるため、北・東・西の三方が川に、南が瀬戸内海という天然の要害になっています。

一方広島城の敷地は次第に縮小されていきます。外堀や中堀のあった場所は埋め立てられて道路が通り、路面電車も走るようになりました。ただ天守閣など一部の主要な建物は引き続き残されています。1931(昭和6)年には天守閣は国宝に指定されました。

第二次世界大戦末期の1945(昭和20)年8月6日、米軍機が落とした原子爆弾(原爆)によって広島の市街地は壊滅的な被害を被りました。そして広島城も天守閣をはじめとするすべての建物が爆風で倒壊してしまいます。
戦後の1953(昭和28)年には史跡として指定され、1958(昭和33)年には天守閣が鉄筋コンクリート建てで復元されました。さらに1989~94(昭和64/平成元~5)年には二の丸の門・橋・櫓が復元されています。2006(平成18)年には日本城郭協会より日本百名城に選ばれました。

本丸に堂々とそびえる5層の天守閣が最大の魅力です。かつての木造天守閣を模したものであるだけに、周りの四季折々の木々との風景が非常に映えます。また二の丸に復元された各櫓群も豪壮な佇まいで外堀から見る風景も見事です。

目次

広島城へのアクセス方法

飛行機で行く場合

最寄り空港:広島空港

▼レンタカーは以下
・トヨタレンタカー 広島空港店 TEL:0848-86-9500
・タイムズカー 広島空港店 TEL:0848-86-9555
・オリックスレンタカー 広島空港店 TEL:0848-86-0544
・ニッポンレンタカー 広島空港店 TEL:0848-86-9919
・日産レンタカー 広島空港店 TEL:0848-86-9023

広島空港から広島城までは車やタクシーで約47分

▼公共交通機関利用の場合
広島バスセンター行きのリムジンバス利用で約50分、広島バスセンター下車後徒歩約12分
時刻表は以下のリンクを参照ください
https://www.hij.airport.jp/access/timetable/1.html?id=internationalTab

新幹線・電車で行く場合

JR山陽新幹線・山陽本線・呉線・可部線・芸備線:広島駅
・広島駅南口より徒歩約25分
・広島駅より広島電鉄市内電車利用、「紙屋町西」電停・「紙屋町東」電停より徒歩約15分
・広島駅南口より広島交通バス利用、「合同庁舎前」バス停下車で徒歩約8分
・広島駅新幹線口(北口)より広島市内循環バスめいぷるーぷ利用、「広島城(護国神社前)」バス停下車で徒歩約6分

車で行く場合

山陽自動車道広島インターより約20分
国道54号線を広島市中心部方面に進むと広島城が見えてきます。駐車場も表御門付近にあり(駐車場情報は以下で解説)

駐車場

広島城には周辺に駐車場があります。詳しい情報は以下の通りです。

・広島市中央駐車場
場所:広島県広島市中区基町
利用時間:6:30~翌1:00
料金:30分210円(最大料金1,600円)
収容台数:普通車406台
TEL:082-227-2110(現地管理人室)

広島城、最寄りの場所からのアクセス方法

広島城へはJR広島駅南口から歩いて約25分、バスで約8分、広島電鉄市内電車で約15分です。バス利用の場合は「合同庁舎前」バス停、市内電車利用の場合は「紙屋町西」・「紙屋町東」電停から歩きます。
南側に表御門があり、駐車場も城の南東にあるため、車利用の場合は南側の駐車場に停めると良いでしょう。
以下では内堀からの眺めを見学してから、表御門から二の丸の各櫓を周り天守閣に向かう裏御門に抜けて、縮景園へ向かうルートで解説していきます。

広島城と城下町を散策する

内堀からの風景

広島城 平櫓(内堀南側から)
広島城 平櫓(内堀南側から)
広島城 内堀(北東側)
広島城 内堀(北東側)
広島城 外観
広島城 外観
内堀は広島城の本丸と二の丸を囲っている堀です。かつて広島城には三重の堀がありましたが、明治維新後の広島市街地の整備によって外堀と中堀が埋められたため、現在内堀のみが残っています。

内堀の幅は場所によって約30~104.4mにも及び、かつて中国地方有数の名城だった名残を今に伝えています。また南東側からは二の丸の各櫓群が、北や西側からは天守閣がそびえているさまが見える点も魅力です。内堀越しに見える天守閣や二の丸の建物群は絶景そのもので、ぜひ観光に合わせて見ていただければと思います。

表御門

広島城 表門
広島城 表門
広島城 二之丸からの眺め
広島城 二之丸からの眺め
広島城 平櫓と御門橋
広島城 平櫓と御門橋
内堀を巡って、表御門から登城します。
表御門は広島城二の丸に通じる正面玄関であるとともに、城内中枢部への入口です。内堀に架かる御門橋を経由して城内に入れるようになっています。戦前まで江戸時代の姿のまま残されていましたが、1945(昭和20)年8月6日の原爆投下で焼失してしまいました。後に1989~91(昭和64/平成元~3)年に築城400年記念に合わせた復元工事で甦り、現在に至っています。

表御門は2階部分に櫓を備えた櫓門で、門の脇には脇戸も設けられているのが特徴です。規模も桁行7.64m・梁間 4.85m・棟高10.61mとなっています。ちなみに門の両隣には石垣が構築されており、2階の櫓部分へも石垣から中に入れる構造です。櫓部分の内部も公開されており、中では太鼓櫓の模型が展示されています。

すぐ隣にある平櫓・多門櫓・太鼓櫓と合わせ、敵が門を破って侵入しても狙撃できるようになっているのも特徴です。御殿のような重要な建物もなかったことから、城の防衛の要であったと考えられています。

平櫓・多門櫓・太鼓櫓

広島城 平櫓と表御門(二の丸内部より)
広島城 平櫓と表御門(二の丸内部より)
広島城 太鼓櫓(二の丸内部から)
広島城 太鼓櫓(二の丸内部から)
広島城 多門櫓(二の丸内部から)
広島城 多門櫓(二の丸内部から)
平櫓・多門櫓・太鼓櫓は表御門のすぐ隣、二の丸の南側にある櫓群です。3つの櫓は一体になっており、全長35間(約63m)もの規模を誇ります。西の表御門側から見て平櫓・多門櫓・太鼓櫓が立っているという位置関係です。築城時から江戸時代にかけて二の丸防衛の要として機能していました。明治維新後に平櫓と多門櫓の西半分は取り壊され、残る多門櫓東半分と太鼓櫓も1945(昭和20)年の原爆投下で焼失しています。1989~91(昭和64/平成元~3)年に築城400年記念する形で復元され、内部も公開されています。

平櫓は1階建てで、桁行12.43m・梁間8.64m・棟高7.76mです。建物は入母屋造で屋根には本瓦葺きが採用されています。また多門櫓は桁行67.86m・梁間 4.93m・棟高5.13mで、屋根は本瓦葺きである一方で切妻造になっているのが特徴です。最も東側にある太鼓櫓は2階建てで、桁行8.49m・梁間7.76m・棟高10.60mとなっています。屋根の部分は平櫓と同じく入母屋造でかつ本瓦葺きです。なお太鼓櫓は、城下の人々に時を知らせるための太鼓が2階部分に設置されていたのが由来です。

3つの櫓の内部は見学できるようになっており、内部には往時の城の姿を復元した模型が展示されています。また太鼓櫓では2階への階段の手前に、かつて使われていた太鼓が置かれ、自由に叩けるようになっています。

本丸中御門跡

広島城 本丸の石垣(本丸から二の丸への道からの眺め)
広島城 本丸の石垣(本丸から二の丸への道からの眺め)
広島城 本丸中御門跡
広島城 本丸中御門跡
広島城 本丸下段の石垣
広島城 本丸下段の石垣
本丸中御門は二の丸と本丸の間にあった門です。江戸時代から戦前にかけてそびえていましたが、1945(昭和20)年8月6日の原爆投下で破壊されています。現在では門の両隣に設けられた石垣のみが残されている状態です。

石垣は赤く変色していますが、原爆投下の際に発生した火災で焼けたためです。ひび割れも見られることから、原爆による被害のすさまじさを現在に伝える存在となっています。なお近くには「被爆樹木 マルバヤナギ」もあり、原爆による火災で建物群が焼ける中で生き残ったものです。ただ幹の部分に空洞ができています。

天守閣

広島城 大天守(入場口正面から)
広島城 大天守(入場口正面から)
広島城 天守
広島城 天守
広島城 大天守(東小天守跡から見た)
広島城 大天守(東小天守跡から見た)
天守閣は広島城内最大の見どころで、本丸の北西隅にそびえています。1589~99(天正17~慶長4)年に毛利輝元が築城した際に落成し、以降も江戸時代や近代を通じて現存の天守として残り続けていました。1940(昭和15)年には国宝に指定されましたが、原爆投下によって倒壊してしまいます。

戦後の1951(昭和26)年に広島で体育文化博覧会が開催された際、木造の模擬天守が建てられました。ただ模擬天守は同年の第6回国民体育大会(国体)が終了した後に解体されています。1953(昭和28)年に広島城が国の史跡に指定されたことを機に天守復元の声が高まり、1958(昭和33)年に鉄筋コンクリート造りで再建されました。現在ではかつての木造天守として復元する計画もあり、有識者による議論や財源確保に向けた取り組みも重ねられています。

復元された天守閣は高さ39mを誇る5層6階の建物です。内部は広島城や広島藩の歴史を伝える博物館になっており、1~3階で常設展示が、4階で企画展示が行われています。特に3階では広島藩主浅野氏が保有していた刀剣や甲冑などが展示されており、見ごたえも抜群です。5階は展望室となっており、広島の中心部や周辺の山々を見渡せます。天気が良ければ南西に宮島も見えるため、快晴の日に探してみると良いでしょう。

裏御門跡

広島城 裏御門跡
広島城 裏御門跡
天守での見学を後にして本丸東側をぐるっと巡って進むと、裏御門跡に出ます。
裏御門は、明治の大火災では生き残り、原爆投下までその姿を残していました。(現在は石垣のみが残ります。)
本丸の東側にあったことから東御門ともいわれています。広島駅からタクシーで「広島城」へというとこの迎えに連れてこられることもままあります。
(近くに、中国放送もあってタクシーの運転手が行きなれていることもありますが、駅の表御門側は交通量が多く車の車線が何車線もあって右折しにくいこともありそうです)

縮景園

借景園  超然居(夕照庵からみた眺め)
借景園 超然居(夕照庵からみた眺め)
借景園 跨虹橋
借景園 跨虹橋
借景園 超然居
借景園 超然居
裏御門跡からほぼ真っすぐ10分ほど東側に進むと、広島城城主、浅野家の大名庭園、縮景園の入り口が見えてきます。
縮景園(しゅっけいえん)は、1620(元和6)年に当時の広島藩主浅野長晟が自らの別邸「お泉水」として設けた庭園です。「縮景園」の名前を付けたのは林羅山で、中国杭州の景勝地・西湖を模した風景の中に山川の景・京洛の態・深山の致が凝縮されている様子から命名したとされています。1783(天明3)年に京都より招かれた庭師・清水七郎右衛門が行った大改修により、ほぼ現在の姿となりました。

明治時代には日清戦争(1894~95)で広島城内に大本営が設けられた際、明治天皇が訪れるとともに、園内の清風館は御座所とされました。1940(昭和15)年には国の名勝に指定されています。しかし1945(昭和20)年8月6日の原爆投下時に甚大な被害を被りました。戦後になって着々と復旧作業が行われ、清風館や明月亭といった主要な建物も再建されます。2020(令和2)年には開園400年を迎えました。

園内は中央の濯纓池(たくえいち)を中心に、渓谷・橋・四阿(あずまや)などが巧みに配置されているのが特徴です。池の周りを歩きながら自然を愛でられる池泉回遊式となっているとともに、眺める場所や角度によって様々な表情の風景が見えます。また1年を通じて様々な季節の花々が咲くため、訪れるたびに異なる花が見られます。なお桜や紅葉の時期にはライトアップも行われるため、日没後に艶やかかつ幻想的な姿が見られるのも魅力のうちです。

広島城、近くの観光地情報

広島城下町やおすすめ観光スポットについてご紹介します。

おすすめ観光スポット①|厳島神社(宮島)

厳島神社 本殿
厳島神社 本殿
厳島神社 大鳥居
厳島神社 大鳥居
厳島神社 五重塔
厳島神社 五重塔
厳島神社は、全国に500社あるといわれる「厳島神社」の総本社で、世界遺産にも登録されています。
海に浮かぶ朱塗りの大鳥居と社殿はあまりに有名です。
歴史好きには、日本三大奇襲(夜戦)の1つで、毛利元就と陶晴賢が安芸国(現在の広島県西部)の覇権をかけて戦った舞台としても有名ですね。
その歴史は古く、推古天皇時代の589年創建といわれています。
祭神は、卑弥呼の娘で海の女神「市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)」「田心姫命(たごりひめのみこと)」「湍津姫命(たぎつひめのみこと)」で、平安時代は平家の庇護で大規模な社殿が整えられました。
現在は、社殿内の【本殿】【拝殿】【回廊】など6棟が国宝に指定され、他14棟が国の重要文化財に指定されています。
運がよければ(潮が引いていると)、拝殿から大鳥居まで歩いて渡れます。
島へは海からフェリーで向かうことになります。
フェリー発着場から5分ぐらい公園や参道を通って参拝路入口に向かいますが、途中には神の使い「鹿」の襲来が予想されます。(笑
ビックリするぐらいに鹿があちらこちらにいるので気をつけながら向かいましょう。

広島城から厳島への行き方

広島城「護国神社前」で乗車し5分ほどで「原爆ドーム前」に到着。
ここから「もとやす桟橋」に徒歩で向かいます。(約5分ほど)
桟橋から宮島行のフェーリーにのって厳島神社(宮島)に向かいます。
平和公園~宮島 宮島[3号桟橋]行に乗船ください。
約45分ほどで宮島到着です。

広島城の御城印と百名城スタンプ

広島城の御城印

広島城では御城印を販売しています。
広島城天守閣内ミュージアムショップ
住所:〒730-0011 広島県広島市中区基町21-1
TEL:082-221-7512
全部で3種類あり、料金は各種1枚につき300円です。

広島城の日本百名城スタンプ

日本百名城スタンプは以下で希望者にのみ貸し出しとなります。
広島城天守閣内ミュージアムショップ
住所:〒730-0011 広島県広島市中区基町21-1
TEL:082-221-7512
 開館期間: 年中無休(12月29日~31日を除く)
 開館時間:3~11月:9:00~18:00(入館は17:30まで)
      12~2月:9:00~17:00(入館は16:30まで)

広島城の入城情報

所在地

広島県広島市中区基町21-1
TEL:082-221-7512

開城時間

・天守閣
3~11月:9:00~18:00(入館は17:30まで)
12~2月:9:00~17:00(入館は16:30まで)

・二の丸
4~9月:9:00~17:30(入館は17:00まで)
10~3月:9:00~16:30(入館は16:00まで)

休城日

・天守閣
年末(12月29日~ 31日)、臨時休館日あり

・二の丸
年末年始(12月29日~1月2日)

料金

・天守閣
個人:大人370円、シニア(65歳以上)180円、高校生180円、中学生以下無料
団体(有料入館者30名以上):大人280円、シニア(65歳以上)100円、高校生100円、中学生以下無料
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳、特定医療費(指定難病)受給者証、特定疾患医療受給者証、先天性血液凝固因子障害等医療受給者証または小児慢性特定疾病医療受給者証、原爆障害者章(バッジ)、留学生学生証を受付にてご提示いただいた場合、高等学校までの学校団体および、社会福祉施設の入所者の団体が事前に入館の申請をいただいた場合は、入館料が無料になります。

・二の丸
無料

製作スタッフ紹介

記事&写真担当

倉之丞
倉之丞
歴史作家。城郭ナビゲーター。
城巡り歴は約40年ほど。防衛施設としての城もさることながら城下町としての街づくりが好き。
特に江戸時代の教育・文化・経済に強く惹かれています。
日本100名城、日本続100名城を中心に訪れたお城の数は150城を超え、2025年に200城を目指し日夜研鑽中。
現在、城トリップで仲間たちと城巡りの情報交換を行いながら記事更新しています。